〈凜々(りん)と結納の日の白障子(しろしょうじ)〉。3年前、佐賀新聞読者文芸欄に載った、山口妙子さん(鹿島市)の句である。白障子という言葉に、清々すがすがしくハレの日の厳粛な雰囲気を感じ取る◆佐賀県はカップルの2組に1組が結納を行い、割合は全国1位―。そんな記事を目にし、半数でトップになるのが意外だった。全国平均は6組に1組ぐらいしかない。佐賀は地方らしい気風が残り、「大事な娘を嫁がせるのだから…」「娶めとるのだから…」と伝統を重んじる親の意向もあるのだろう◆筆者も二十数年前、仲人さんと鯛(たい)を持参したクチである。うれしいような気恥ずかしい気持ちになったものだ。豊増幸子さんの『さがの冠婚葬祭』によれば、結納の儀式は地方色が濃い◆昔、鳥栖の肥前側(旧鍋島藩)では婚約を「かため」といい、仲人が吉日を選び、「一生一代」につながる酒1升、鯛1匹に竹ちく輪わ、蒲かま鉾ぼこを添え嫁方に贈った。伊万里になると、こみ入っている。仲人が申し入れた縁談を最初は不調とし、2度目で縁者臨席の上で承知する。3回目にやっと婚約の運びだ◆多くの人の手で調えることで、長い結婚生活への覚悟が育つということか。しかし近頃は仲人を立てない人も増え、形式ばったものは敬遠されがちである。形はどうあれ、添い遂げようという始まりの気持ちを忘れないことだろう。(章)

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