(C)2017 映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会(C)2014 田中経一/幻冬舎

監督/滝田洋二郎『おくりびと』
出演/二宮和也、西島秀俊、綾野剛、宮﨑あおい、竹野内豊 他
配給/東宝

料理にまつわる70年前の真実を描く感動作

 “食”に関する映画には、いつでも興味をそそられる。天才的な味覚を持つ主人公が料理によって過去をたどる映画『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』も、興味の入り口は料理だったが、見終わると滝田洋二郎監督らしい人間ドラマとして感動した。

 どんな味でも記憶して再現できる、絶対味覚“麒麟(きりん)の舌”の持ち主、佐々木充。依頼人の「人生最後に食べたい料理」を再現して高額の報酬を得ている彼のもとに、中国料理界の重鎮・楊晴明から巨額の依頼が来る。かつて満洲国で日本人料理人・山形直太朗が考案した伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席」を再現してほしいというものだ。当時、楊は山形の調理助手を務めていたが、太平洋戦争開戦によって山形もレシピ集も行方不明になったという。充は雲をつかむような話に戸惑いながらも、レシピ再現のため調査を開始する…。

 現代の青年・充を二宮和也が、70年前の料理人・山形を西島秀俊が演じて、二つの時代の物語を交互に描く。山形の身に何があったのか、レシピの行方は…と充が真相をたどっていく様子はミステリー風の面白さがある。そして、才能はあるが起業に失敗し、料理への情熱も失っていた充が、真実によって周囲の人々の思いを知る結末が、こちらの心をなごませる。

 太平洋戦争開戦直前の満州という背景から、時代に翻弄(ほんろう)された人々の運命が描かれるが、最終的には職人の情熱や人間愛を映し出す物語に着地する。山形のレシピは、日本だけでなく中国や他国の料理も取り入れたもの。その点からも、争いのない世界への願いが秘められている気がした。(シネマライター・KAORU)

Side Story 豪華なメニューを映像化

(C)2017 映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会(C)2014 田中経一/幻冬舎

 本作はテレビの人気料理番組「料理の鉄人」を手がけた演出家・田中経一のデビュー小説の映画化。料理が重要な位置を占めるとあって、絢爛(けんらん)豪華なメニューの映像化には、料理界の重鎮・服部幸應が全面協力。セッティングも美しい料理完成シーンは時間的にも短いので、見逃さないで。

このエントリーをはてなブックマークに追加