昨年9月、体が不自由な妻=当時(71)=を鹿島市の自宅で殺害したとして、殺人罪に問われた夫の江口末秋被告(71)=同市納富分=の裁判員裁判の初公判が13日、佐賀地裁(吉井広幸裁判長)であり、江口被告は起訴内容を認めた。検察側は「介護疲れの果ての身勝手な犯行」と指摘し、弁護側は妻の同意があったとして「承諾殺人にとどまる」と主張した。

 検察側は、江口被告が証拠を残すため犯行時に録音した音声データを明らかにし、「承諾はなかった」と主張した。冒頭陳述では、妻ヤス子さんを20年以上介護してきた江口被告が、妻が介護施設になじめなかったことなどを悩んで自殺を考えるようになり、「妻を残して死ねない」と殺害を決意したと述べた。

 音声データは10分55秒の長さで、証拠調べの際に検察側が読み上げた。冒頭に「ヤス子」「なんね」といったやりとりがあり、江口被告が「もう死んでくれ、俺も死ぬから」と話した後、おえつを漏らし「こんなことしたくなかったのに、すまん、すまんのう」という言葉が記録されていた。

 被告人質問で江口被告は妻の承諾について「絶対になかった」と述べた。ただ、弁護側は、目を覚ました妻に抵抗した跡がなかったとして「殺害を受け入れていたのでは」と主張し、「被告は年々大きくなる介護負担で追い詰められ、うつ状態だった」と訴えた。

 起訴状などによると、江口被告は昨年9月7日午後10時から8日午前4時半ごろまでの間に、自宅1階の寝室の介護用ベッドで、下半身が不自由なヤス子さんの首を電気延長コードで絞めて殺害したとしている。

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