「ディスカバー農山漁村の宝」の優良事例に選定されたひらの棚田米振興協議会のメンバー=多久市西多久町

 多久市西多久町平野地区の農家でつくる「ひらの棚田米振興協議会」(小園敏則会長、9人)が、内閣官房と農林水産省が農山漁村の資源を生かした地域活性化の取り組みを全国に発信する「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」事業の優良事例に県内で唯一選ばれた。棚田米のブランド化や都市部との交流など、地域の宝「棚田」を生かした活動が評価された。

 

 平野地区は標高約190メートルの山あいにあり、170枚の棚田で7・7ヘクタールを耕作。同協議会は、冷たい清らかな湧き水を生かし、春のレンゲソウを肥料に使って化学肥料を減らした「夢しずく」を栽培し、ブランド米としてインターネットなどで販売している。

 大阪の企業の食堂に納入するなどリピーターも多く、ふるさと納税の返礼品にも使われている。県内外のファンを増やそうと、直売所での試食販売や収穫体験も企画。10月1日に開いた稲刈りイベントには122人が参加した。

 棚田は美しい景観が注目される一方、田んぼの形がふぞろいで大型の農機具を入れられないため、維持管理が難しい。協議会のメンバーも全員が60歳以上と高齢化が進み、小園さん(71)は「畦(あぜ)の草刈りやため池の維持など、手間や労力は平たん部の何十倍もかかる」と話す。

 それでも、イノシシなどの鳥獣被害が広がらないよう、「荒廃地を作らない」と意識を共有して活動を続ける。小園さんは「棚田の農業は費用対効果を考えると成り立たないかもしれないけれど、もうかる農業に近づけるためにみんなで力を合わせたい」。今後は稲刈りだけでなく、田植えの体験も検討しているという。

 「ディスカバー農山漁村の宝」の優良事例は全国から31地区が選定された。今月下旬の有識者懇談会でグランプリと特別賞が選定される予定。

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