交付要件を満たさないのに約1億2000万円の国庫補助を受けたと指摘された農業生産法人のハウス=伊万里市

 会計検査院が8日に報告した2016年度決算検査で、佐賀県関係で不適切と指摘されたのは農業施設の交付金や国保の国庫負担金の交付金など7件、総額1億5480万円だった。該当する自治体や関係機関は不適切分の返還や事業の改善を行う。

 農業関係では、伊万里市の農業法人が13~14年度に整備した栽培施設のハウスが基準の強度を満たしておらず、国からの補助金1億1990万円を不当とした。鹿島市は14年度、農地条件の利用権が未設定だった新規就農者1人に125万円を給付していた。

 社会保障分野では、西松浦郡有田町と小城市で国保の国庫負担金がそれぞれ1946万円(14年度)、512万円(15年度)過大に交付されていた。金額の計算や書類への記入を誤るなどしていたという。県内の1医療機関では12~16年度、入院基本料の算定方法が不適切で国が66万円を過大に支払っていた。

 佐賀市では11~14年度、民間保育所が実施した延長保育推進事業で保育士の配置が不足していたのに、人件費など実支出額628万円を過大に計上していた。また、14~15年度の浄化槽市町村整備推進事業で旅費や事務経費での国の交付金213万円が不当と指摘された。

 伊万里市の事例を除き、いずれも国に不適切分を返還する。

 

1億1990万円不当支給 伊万里の農業法人

 会計検査院から補助金約1億2千万円が不当支給とされた伊万里市の農業生産法人の栽培施設は、国の補助金の交付要件となる耐風強度を満たしていなかった。検査院は県や市の検査態勢が十分でなかったと指摘している。

 農業生産法人「アースマインド伊万里」は2013~14年、パプリカを栽培する最新型の大規模ハウスを整備し、費用の半分に当たる1億1990万円を農水省の「農業・食品産業強化対策整備交付金」で賄った。

 交付要件の一つに「風速50メートルに耐えられる施設」という内容があり、法人側は施設完成後、必要な強度は確保したとする書類を市に提出。市と県のチェックを通って交付金が支給されたが、検査院の調査で風速28メートルまでしか耐えられないことが判明した。

 市などによると、法人が施設の設計・施工業者から受け取った完成図面や構造計算書の内容が、実際の構造や部材とは異なっていた。法人はそのまま市に提出し、市も県も不備を見抜けなかった。業者側は不備は認めたものの、偽造ではないと説明しているという。

 検査院は補助金の返還ではなく施設の補強工事を求めており、業者が費用負担して行うことが法人との間で決まっている。市の担当者は「現場の検査態勢の甘さを反省し、研修を行うなど再発防止に努めたい」としている。

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