熊川哲也率いるKバレエカンパニーの新作「クレオパトラ」(瀬戸秀美撮影)

 ダンサーの熊川哲也(くまかわてつや)が芸術監督を務めるKバレエカンパニーの新作「クレオパトラ」。熊川が新たに演出と振り付けを手掛けた。シンプルで斬新な舞台装置に、ドラマチックな踊りや音楽が織りなす、熊川渾身(こんしん)の作品だった。(10月20日、東京文化会館)

 古代エジプトとローマを舞台に、女王クレオパトラがカエサルやアントニウスら時の権力者と渡り合い、力強く生きる壮大な物語だ。

 抜群の存在感やテクニックを持つタイトルロールの中村祥子(なかむらしょうこ)(佐賀市出身)は、鍛え上げた体を生かしたレオタード姿を見せ、バレエのヒロインでは珍しい戦う場面も演じ、勇敢に妖艶に踊りきった。若手ダンサーたちのはつらつとした踊りも印象的だった。

 デンマークの作曲家カール・ニールセンによる音楽はエキゾチックな雰囲気が漂い、叙情的。熊川は「一番難しいのは音楽」と制作中に話していたが、エジプトとローマを明確に対比させようとした舞台装置や踊りに、違和感なく合っていた。

 エジプトは優雅で整然、ローマは強欲でどう猛と、舞台装置や踊りからイメージでき、比較的分かりやすかった。

 例えばエジプトは、ピラミッドを思わせる高さ約5メートルの階段や、パピルスに描かれているような、腕を曲げて手のひらを空に見せるような振り。

 ローマは血がたぎる闘争を連想させる旗や、巨大なカエサルの像のセットなど、ダニエル・オストリングが舞台美術をセンス良くまとめた。

 最後に、クレオパトラが階段の上から身を投げる演出は意表を突き、驚きと興奮の渦へ会場を引きずり込んだ。【共同】

このエントリーをはてなブックマークに追加