容疑者が「首吊り士」のアカウントで利用していたツイッターの画面。閲覧者の中に10代もいたとみられる

 神奈川県座間市で9人の切断遺体が見つかった事件の被害者に、女子高生3人が含まれている可能性が浮上した。容疑者は「ツイッターを通じて知り合い、自宅に連れ込んだ」と供述。未成年の会員制交流サイト(SNS)利用の危うさが改めて浮き彫りになった。関係省庁は対応を模索するが、個別のやりとりに踏み込む難しさもあり、有効な手だては見えない。

 「もし自分が家族の立場だったら…」。9人の身元情報が浮上し、確認が続いた6日。捜査幹部は言葉を詰まらせた。捜査本部によると、遺留品などから福島、群馬、埼玉各県に住む15~17歳の女子高生が含まれている可能性がある。死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)とツイッターでやりとりを続け、自宅に誘い込まれたとみられ、文部科学省職員も「事実であれば本当に痛ましい」とつぶやいた。

 事件が発覚する約10日前の10月19日。警察庁の坂口正芳長官は記者会見でSNSに関し「憂慮すべき状況にある」と発言。未成年の利用を巡る危険性は各方面で指摘されていた。

 警察庁によると、今年上半期(1~6月)にSNSをきっかけに犯罪被害に遭った18歳未満は全国で919人。統計を取り始めた2008年以降は増加傾向で、児童買春や児童ポルノを中心に強制わいせつ事件などに発展したケースもある。

 被害者のうちツイッターを利用していたのは3割強に上る。捜査幹部は背景を「投稿する側は匿名でアカウントをつくることができ、“裏のアカウント”をいくつも持てる」と指摘。非公開のダイレクトメッセージで一対一のやりとりができることも、大人が介入しにくい要因とされる。

 関係省庁や事業者も動き始めてはいる。文科省は学校で情報モラル教育に力を入れるよう学習指導要領に明記。今年の夏休み前には「ネット上での出会い」への注意を促すリーフレットを中高生に配布した。SNSなどの運営に携わる事業者は7月、警察庁の音頭で安全対策検討の協議会を発足。犯罪防止システムに関するノウハウの共有などを図り始めている。

 ただ文科省職員は「一定程度、判断力がある年代の行動にどこまで実効性のある対応が取れるのか。答えを見いだしにくい」とし、ツイッターの全面禁止などは現実的ではないとする。

 法務省幹部も「規制するにしても、閲覧先や書き込み、やりとりの内容など、何を対象とするかは簡単に決められない」。個人間の“会話”を法規制に掛けることは難しいとの考えを示しており、現時点で検討会などの動きが出る気配はない。

 サイバー犯罪に詳しい森井昌克神戸大大学院教授(情報通信工学)は「不明確な基準で個人間のメッセージまで検閲することはできず、事業者の対応には限界がある」と説明。対策について「24時間やりとりが可能なSNSは、会って話すよりも親密な関係になることもある。子どもがスマホを手放さずSNSにのめり込んでいるようなら、家族が気を配って注意してあげることが必要だ」と提案する。【共同】

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