佐賀県内の2016年の肝臓がん死亡率が18年連続で都道府県別ワーストになったことが、厚生労働省の人口動態統計で分かった。人口10万人当たりの死亡率は37・6人となり、前年より2・0ポイント上昇し悪化した。早期発見治療には、働き盛り世代の受診率の低さが課題。県は肝臓がんの主因であるC型、B型肝炎ウイルス感染について、10年ほど前から始めた職場へのウイルス感染出前検査に加え、昨年度は感染検査の大切さや進歩した治療法を伝える「出前講座」も始め、対策に力を入れている。

 県の肝臓がん死亡率は全国平均の22・8人より14・8人多かった。死亡者は310人で前年から15人増えた。内訳は男性が185人、女性が125人、年代別では65歳以上の高齢層に集中している。

 県健康増進課によると、佐賀県は肝炎ウイルスに感染したキャリアが多く、C型の感染率は全国に比べ3倍、B型は2倍となっている。県は肝疾患対策を重点的に進めてきた。06年度からは、県が委託した四つの検査機関が企業や事業所で検査する「出前検査」を導入し、毎年3千~4千人が検査を受けてきた。

 しかし、16年度県肝疾患対策委員会への報告では、1992~2015年に検診を受診した割合は全体で男性58%、女性74%にとどまっている。30~60代男性が低く、50%にも満たない年代もあるなど、働き盛りの世代で低い傾向が顕著だった。

 仕事で多忙な世代に検査を受ける大切さに気づいてもらおうと、県は16年度、事業所向けに県職員による“出前講座”を企画。これまでに20の事業所で実施した。ただ、認知度の低さや15年12月施行の改正労働安全衛生法で、事業者に義務付けられた「ストレスチェック」の実施が優先され、肝炎対策まで目を向ける余裕がない現状が透けて見えるなど、活用面では課題を残す。

 県健康増進課は「肝炎はほとんど自覚症状がないため、治療を先送りする傾向が強い。多くの職場が人手不足の状況で時間の確保が難しいと思うが、労働者の健康の観点から肝炎対策に目を向けてほしい」と呼び掛ける。

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