和解協議のやりとりを説明する開門派漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長(右)と漁業者=長崎市の長崎地裁前

 国営諫早湾干拓事業を巡る開門差し止め訴訟の第11回和解協議が12日、長崎地裁(松葉佐隆之裁判長)で開かれた。地裁は国に対し、開門しない代わりとして国が創設を提案している100億円の基金の最終案を、佐賀など有明海沿岸の4県と各漁業団体が受け入れるかどうか回答を聴いてくるよう求めた。期限は次回協議の来年1月17日までとした。開門を求める佐賀県有明海漁協が既に拒否する方針を固めており、総意を得るのは困難な見通しとなっている。

 和解協議は非公開。出席者によると、地裁が国に質問書を渡した上で、国が各県や漁業団体から意見を聴き、回答を地裁に提出する形になる。質問書の内容は、地裁が開門派の意見を踏まえ、数日以内に作成するとしている。

 協議後、開門派の馬奈木昭雄弁護団長は「最終案は佐賀の漁協が反対を表明しており、あとの3県の漁連でも受け入れられるはずがない」と強調した。地裁が来年3月までに計4回の期日を決めたと説明し、「すぐに打ち切っての判決ではなく、(開門を含めた)別の枠組みでの協議をするという裁判所の返事と理解している」と語った。

 農水省の会見で、横井績農地資源課長は「今回は100億という総額を含めた形で改めて聴いていく。一部漁業団体の中で方向性が固まったような報道もあるが、しっかり説明していく」と述べた。最終案の金額は「政府として最大限示せる額」とし、今後変更する可能性は否定した。

 営農者側の山下俊夫弁護団長は「100億円は、開門派の漁業者の皆さんが大きな成果を得たと考えて、受け入れを前向きに検討していただきたい」と和解成立に期待感を示した。

 国が11月末に地裁に提出した基金最終案は、4県と各漁業団体が一般社団法人を設立して基金を管理運営する仕組み。国は和解成立を基金実現の条件とする。

 地裁は7月の和解協議でも国に対し、基金案への賛否を各漁業団体などに聴くよう求めていた。国はこれまで長崎県以外から開門しない前提への賛意を得られないまま最終案に至っている。

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