絵付け一筋50年。鍋島焼の伝統を守りつつ、創造性を追求している市川龍男さん=伊万里市大川内町の工房

 卓越した技術の持ち主を厚生労働大臣が表彰する「現代の名工」に、佐賀県からろくろ成形工の大串惣次郎さん(70)=西松浦郡有田町=と陶磁器画工の市川龍男さん(65)=伊万里市=が選ばれた。伝統の伊万里・有田焼を高い技術でリードする2人の業績と喜びの声を紹介する。

 鍋島焼を代表する絵付け師として評価された。「私はただ、一つのことを夢中でやってきただけ。そうできたのも両親や家族、窯元の諸先輩の支えがあったおかげで、感謝しかない」と顔をほころばせる。

 50年前、15歳で大川内山の窯元に弟子入りした。「高い志があったわけじゃない」というが、焼き物と筆を手にしたら、徹夜続きでも苦にならなかった。「それが今まで続いているのだから、天職だったのでしょう」

 一度だけ、この道でいいのか迷ったことがある。20歳のころ、ほかの世界も知りたいと、逃げるように上京した。アルバイトをしながら半年が過ぎたころ、ふらりと立ち寄った美術館で、初めて江戸時代の「本物の鍋島焼」を見て、その美の奥深さに気付かされた。

 それからは隆盛期(江戸中期)の鍋島焼という高峰だけを見つめてきた。「材料と道具が違うから同じ色は出せないけど、超えるものを作る気持ちで挑み続けたい」。盛期鍋島の再現をライフワークとしつつ、独自の美も追い求める。

 後進の育成にも力を入れる。鍋島焼の伝統は、高い技能を持つ職人たちによって守り継がれてきた。「若い人の目標となるため、私自身もっといい作品を作らないといけない」。名工の誇りと責任を胸に、さらなる高みを目指す。

このエントリーをはてなブックマークに追加