熟練の技能でさまざまな作品に取り組む大串惣次郎さん=西松浦郡有田町の惣次郎窯

 卓越した技術の持ち主を厚生労働大臣が表彰する「現代の名工」に、佐賀県からろくろ成形工の大串惣次郎さん(70)=西松浦郡有田町=と陶磁器画工の市川龍男さん(65)=伊万里市=が選ばれた。伝統の伊万里・有田焼を高い技術でリードする2人の業績と喜びの声を紹介する。

 ろくろに向かって40年。土の塊を繊細な手の動きで茶わんや花瓶、ワイングラスなど、さまざまな形に仕上げてきた。大切にしていることは「どんな注文にも応えること」。70歳の今も、制作に行き詰まればベテラン、若手を問わず作り方を尋ねる。「『できない』と軽々しくは言えない。方法は絶対ある」と職人の誇りをにじませる。

 ろくろを本格的に始めたのは30歳と、遅いスタートだった。有田工業高専修科で技術を一から学んだ。「多くの技を身に付けたい、いい物を作りたい」の一心で修業を重ねた。

 これまでに積み上げた技術で新しい挑戦も続ける。ワイングラスは昨年の有田焼創業400年を機に取り組み始めた。一般的にはカップ、首、底部を別々に作り、つなぎ合わせることが多いが、一体で作り上げる。少しでもバランスが崩れると、カップ部分が落ちる難しい作業を、工夫を重ねて安定的に完成させる。

 7年前からは伊万里・有田焼伝統工芸士会会長を務める。若手技術者の育成も大きな役割となる。学校の出前授業の講師や、イベントでの実演にも積極的に参加し、裾野を広げる活動に力を入れる。「400年かけて磨かれた技術を次の世代に伝えることが使命。制作と伝承の両輪でこれからも続けたい」

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