バルーンから眺めた佐賀平野。パシフィックカップのバルーン佐賀市街地方面へ向かうパシフィックカップのバルーン

バルーンから佐賀平野を眺める岩本記者。下を見ないように、視線を遠くに向けている。

大空に出発する岩本大志記者=2日朝、佐賀市の嘉瀬川河川敷

観客に手を振って出発する岩本大志記者=2日朝、佐賀市の嘉瀬川河川敷

飛び立つ前に記念撮影する岩本大志記者=2日朝、佐賀市の嘉瀬川河川敷

バルーンの立ち上げを手伝う岩本大志記者=2日朝、佐賀市の嘉瀬川河川敷

 佐賀平野の秋の風物詩・バルーンフェスタ。大空に熱気球が浮かぶさまは圧巻だが、上空から見る光景はどうなのか-。「高いところが一番苦手」のバルーンフェスタ担当・岩本大志記者(25)が取材で知り合った海外クルーの協力を得て、フライトを体験した。

 

 「リポーター! 君も手伝ってくれ」。フェスタ部門の立ち上げ準備が始まった午前7時半、お客様気分で眺めていたのが一変した。

 ワゴン車から球皮を取り出して広げ、専用の巨大扇風機「インフレーター」で風を送って、離陸の準備を始める。強がって、重さ約35キロのガスボンベを肩に担いでバスケットに積み込むと腰を痛めた。準備にもたついていると、他のフェスタ気球が飛び始めた。「こんなに体力勝負だったとは」。優雅な空の旅とは似つかない力仕事に不意を突かれた。

 ホストファミリーの取材が縁で、搭乗を快く受け入れてくれた熱気球は、マレーシアと韓国の混合チーム。パイロットはムハマド・サブリ・サードさん(57)=マレーシア=で、気球には故郷ケダ州のシンボルカラーの黄色と緑があしらわれている。フリーフライトのフェスタ部門に出場し、佐賀大会には初参加だった。

 離陸前、サブリさんは口早に注意事項を三つ挙げた。「着陸するときはしゃがむこと。バスケットの中のロープをつかむこと。体調が悪くなったらすぐに知らせること」。二つ返事でうなずいた。「高いところが一番苦手」であることは言いそびれた。

 バーナーの炎がたかれ球皮が温まると、気球はゆっくりと地上から離れ、観客の真上へ。「ミナサン、コンニチワ!」。サブリさんらは片言の日本語を駆使し、会場から手を振る観客に応えた。つられて、片言の日本語がうつった。「コンニチワ!」

 上空約300メートル。遠くに、嘉瀬川河川敷から一斉離陸したパシフィックカップの気球が見えた。朝もやがかかった地平線に浮かぶ色とりどりのバルーン。あまりの美しさに息をのんだ。「静かだろう。建物があんなに小さい」。下をのぞくと、足がすくんだ。すぐに視線を地平線に戻した。

 約50分のフライトは、小城市芦刈町付近の田んぼに着陸。ワゴン車で気球を追っていたクルーが駆けつけ、片付けの準備に取りかかる。「フェスタはゆっくり片付けできるけど、競技飛行だと午後のフライトもあるから、もたもた片付けはできないんだよ」。クルーの一人が、田んぼの持ち主にあいさつに行った。

 思いがけない縁で始まったフライト。懸念していた高さへの恐怖も次第に薄れていった。次の日の筋肉痛が気がかりな、快適な空の旅になった。

このエントリーをはてなブックマークに追加