彦山・奉弊殿わきの、この鳥居をくぐって山頂の上宮へ向かい、修行が始まる

■一日のすべてが修行

 彦山の修行、行者の峰入りは14歳から始まるが、彼ら「新発意(しんぼち)」と呼ばれる少年たちを待つ修行は過酷なものである。4月8日、お釈迦(しゃか)様の誕生日に入峰する春の峰は彦山山頂の「彦山上宮」を参拝した後、山中の修行窟(くつ)や修行堂を巡る。
 この山中修行では閉め切った堂内で大量の香を焚(た)き、煙の中でせき込みながら「経文」や「呪文」を唱える「煙燻(けむりいぶし)」や、張り出した岩からあおむけに半身を乗り出し、えび反りに谷底を眺める「覗(のぞき)」、うさぎ跳びで道を進む「飛競(とびくらべ)」などの厳しい修行を行い、修験の基礎を学ぶ。
 山中修行を終えた一行は西へ向かい、小石原峠から峰伝いに馬見岳、古処山、八丁峠を経て宝満山へと向かう峰入修行に入る。修行の間、新発意の食事は手のひらを窪(くぼ)め、その上に飯を盛る「窪手飯(くぼてめし)」を日に7度のみに限られる。
 夜の修行では先達の灯火一つを頼りに、前を行く者の帯をつかみ、昼間の修行の疲れから睡魔に襲われ、半ば眠りながら杖をつき山道をたどる。
 宿泊地では組に分かれて木を切り飲食の火、すなわちキャンプファイアの早さを競う「焚競(たきくらべ)」など一日のすべてが修行である。(鳥栖歴史研究会常任講師)

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