第4次安倍内閣が発足した。安倍晋三首相は全ての閣僚を再任し、新たな施策として掲げた「人づくり革命」や「生産性革命」に沿った補正予算の編成を指示した。

 安倍首相は記者会見で「謙虚な姿勢で真摯しな政権運営に当たる」と述べたが、その言葉とは裏腹のふるまいが早くも目につく。

 国会における質問時間の見直しである。これまでは「8対2」の割合で、野党に多く割り振ってきた。これを、獲得議席数に応じて割り振るよう見直したいのだという。つまり、野党の質問時間を奪おうというわけだ。

 安倍首相は、質問の機会が少ない自民党若手議員の思いを引いて「有権者の負託に応えるため。国会でも職責を果たしてもらいたい」と見直す理由を説明した。

 だが、政府を支える与党議員による質問は、往々にして緊張感を欠く。そもそも、野党優遇は、野党時代の自民党も求めていた。政府をチェックするという役割を考えれば、野党優遇には一定の合理性があるのではないか。

 とりわけ、森友学園、加計学園をめぐる疑惑については、国民の多くがいまだに納得していない。なぜ国有地は格安で売られたのか、国家戦略特区は「加計ありき」ではなかったのか―。疑惑は払拭されないままだ。

 やはり、野党の質問に正面から答える真摯さが欲しい。

 これから憲法論議も本格化する。日本の在り方を決める大切なテーマであり、国民の目に見える形でしっかり論戦に臨むべきだ。

 新内閣は、全て閣僚が続投したが、それも当然だろう。前回の内閣改造から3カ月しかたっていない。しかも、その後の臨時国会は冒頭で解散しており、閣僚は所信を述べる機会さえなかった。

 安倍首相は補正予算の編成を指示し、教育費無償化などを盛り込んだ「人づくり革命」と、中小企業の効率化を支援する「生産性革命」を柱に据えた。

 子育て世代への支援を拡充する方向性そのものは、広く賛同が得られるだろう。衆院選の公約を見比べても、与野党超えて子育て支援を盛り込んでもいた。

 ただ、財源をどうするのか。日本の債務は1千兆円を超え、世界的にも経験がない領域に突入した。深刻な財政赤字に加えて、人口減少が進む状況を考え合わせれば、国民の間に将来への不安が根強いのもうなずける。まさに、私たちの足元で「国難」が進行しているわけだ。

 不安解消に向けて、安倍首相は「経済最優先。アベノミクスの3本の矢を放ち続ける」と述べ、「生産性革命」を掲げた。中小企業の設備投資や効率化を促し、競争力を高める狙いである。日本の生産性は、米国のわずか6割にとどまっており、これを飛躍的に引き上げるには大胆な施策が求められよう。

 野党にも注文しておきたい。衆院選では政策や理念をかなぐり捨ててまで生き残りに走る姿を見せられた。今なお再編の動きがくすぶるが、国民の目には野合にしか映らないのではないか。数合わせではなく、しっかりと政策で競うべきだ。

 会期は与党が歩み寄る形で39日間に決まった。日本の未来のため、与野党による本格的な論戦を聞かせてもらいたい。(古賀史生)

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