京都の食、工芸品を集めた物産展。節約志向が高まる中、県内各店は消費喚起に力を入れている=佐賀市の佐賀玉屋

 9月の佐賀県内経済は、婦人服の販売低迷が続く一方、白物家電などの耐久財が売れるなど、まだら模様の消費となった。買い換え需要が一時的に支出を押し上げたものの、生活必需品に絞った慎重な消費行動も見受けられ、本格的な景気回復につながるかは予断を許さない。

 小売店では、節約のため自宅で食事をする「中食」需要の増加を背景に、食品の販売が好調。冷蔵庫などの白物家電や呉服、宝飾品も伸び、価格重視の一方で質の高さを求める消費の二極化も見られた。

 台風の接近で、旅館はキャンセルが出るなど集客に影響したが、ゴルフ場の入場者は増加した。高速バスも行楽客の増加で収入を伸ばした。陶磁器は、一部で業務用需要を取り込み、売り上げを伸ばしたが、不振が続く企業もあり、明暗がくっきりと分かれた。

 建設は公共工事の減少が続く一方、住宅着工が大幅に増加した。住宅ローンの金利低下で若年層の購入意欲が高まり、不動産取引も活発だった。

■節約志向で食品販売好調

 ◇…大 型 店…◇

 売り上げ、来店客数ともに前年並み。「大江戸」(東京)、「京洛」(京都)の物産展が集客につながった。婦人服はわずかに前年を下回ったが、化粧品などの雑貨、宝飾が売れ、呉服は2桁増だった。食品も堅調に推移して数字を押し上げた。全体的にクレジットカードでの支払いが伸びている。

 (小笠原浩幸・佐賀玉屋営業企画部長)

 売り上げ、来店客数ともに前年を上回った。婦人衣料は伸び悩んだものの、紳士衣料や、精肉、鮮魚といった食品が好調で、ランドセルも売れた。昨年11月の増床で店舗が倍増した子供衣料は集客につながっているが、売れる店と、そうでない店の差が出てきている。

 (高橋邦典・ゆめタウン佐賀支配人)

 ◇…電 化 製 品…◇

 来店客数は前年を下回ったが、客単価が上昇し、売り上げは前年並みだった。テレビやデジタルカメラ、新製品が出た冷蔵庫、洗濯機が特に動いた。いずれも価格の高い上位機種が売れている。掃除ロボットも中高年層に人気で、敬老の日の贈り物としてマッサージチェアもよく売れた。

 (池上英治・エディオン佐賀本店店長)

 ◇…  茶  …◇

 残暑で動きが鈍い時季だが、それを差し引いても芳しくなかった。下級品や最下級品は生産量が少なく、慢性的に不足している。三番茶で何とか補っているが、割高になるため販売に影響が出ないか心配だ。ティーバッグやほうじ茶、ペットボトル用の原料となる粉茶や茎茶も需要に生産が追いついていない。

 (橋爪英彦・県茶商工業協同組合理事長)

 ◇…製   麺…◇

 そうめんや冷や麦など夏物の出荷が終わった。目立った動きはみられず、全体の売り上げは前年並みで推移した。10月から輸入小麦の政府売り渡し価格が平均3・6%上がり、売り上げが伸びない中での負担増に困惑している。消費者が求める簡便な料理を提案し、需要を掘り起こしていくことが肝要だ。

 (古賀義治・県製粉製麺事業協同組合理事長)

■台風接近集客に影響

 ◇…旅   館…◇

 全体の宿泊者数はわずかながら前年を上回った。台風の影響で予約キャンセルがあったものの、団体客をしっかりと取り込めた。外国人客は大きく増えているわけではないが、安定的に推移している。これから行楽シーズン本番。取りこぼしがなければ、年間の宿泊客数は前年を上回りそうだ。

 (松下隆義・唐津市旅館協同組合理事長)

 全体の宿泊者数は前年同月比5%の減。週末の予約は好調だったが、台風による団体客のキャンセルが響いたようだ。熊本地震で導入された割引旅行商品の販売が終了。日本人客は昨年ほどの勢いはないが、外国人客が昨年を上回るペースで伸びており、全体を底上げしている。

 (池田榮一・嬉野温泉旅館組合理事長)

 ◇…ゴ ル フ…◇

 県内施設の来場者数は前年同月比12・6%の増。前年は天候不順で厳しかったため大幅増となったが、2年前と比べると3・2%減っており、素直に喜べない状況だ。過ごしやすい季節になり、週末はコンペなどで予約が埋まり始めた。着実に積み上げていきたい。

 (毛利雄治・九州ゴルフ連盟支配人部会県代表幹事)

■不動産取引、低金利で活発

 ◇…建   設…◇

 県内の公共工事の請負金額は前年同月比27・0%減の124億円、件数は21・6%減の309件。前年に比べて工事量が少なく、請負額、件数ともに3カ月連続で前年を下回った。発注者別の請負額は国、県、市町のいずれもマイナスで、県は3割減と大きく落ち込んだ。通期でもマイナスで推移しているが、年間予算は増えており、下期に大型工事の発注を控えているのだろう。8月の住宅着工は、23・8%増の374戸だった。

 (中島博文・県建設業協会専務理事)

 ◇…不 動 産…◇

 長期金利の低下などで若い世代の購入意欲が高く、投資目的で住宅を売買する動きも出てきた。佐賀地区は立地条件が良い土地や、1千万円台の中古住宅が人気。鳥栖・三神は商業地以外の新築住宅や中古マンションが売れた。杵藤は一戸建ての売買が増え、賃貸して収入を得ようと購入する人も目立つ。伊万里は市南部の宅地開発が活発。唐津は中心部で住宅を購入する若年層が増え、販売価格も上がっている。

 賃貸は、全体的に需要が伸び、特に九州新幹線長崎ルート沿いで事業用地の引き合いが強い。

 (山口英則・県宅地建物取引業協会地域振興委員長)

 ◇…陶 磁 器…◇

 売上高は前年比9・55%の増。外食産業向けの年末の業務用食器が動き始めている。国内の新規取り込みや海外との取引など、商工ともに積極的に取り組んだ所が数字を押し上げている。これから年末に掛けて市場が活発に動く時期。年初来、前年割れが続いていただけに安(あん)堵(ど)感もあるが、気を引き締めて商戦に臨みたい。

 (百武龍太郎・県陶磁器工業協同組合専務理事)

 全体的に需要が低迷し、前年比8・22%減だった。個別にみると、業務用や店舗リニューアル、ギフト関係でまとまった注文をつかんだ所が数字をカバーしている。需要が変化する中、製造過程での人員不足によって商品提供の遅れにつながったこともあり、今後の課題となっている。

 (藤雅友・肥前陶磁器商工協同組合専務理事)

 前年比15・65%増と好調を維持した。忘新年会シーズンを前に、店舗リニューアルに伴う業務用食器の入れ替え需要をつかみ、数字を伸ばした。展示会への参加などから新たな注文につなげた所もあった。これから需要が本格化する時期を迎える。売り上げを伸ばす取り組みが一層重要になる。

 (原口秀夫・有田焼卸団地協同組合専務理事)

 ◇…陶   土…◇

 有田、波佐見ともに月初めから動きが鈍く、前年比7・0%減と苦戦した。有田焼創業400年だった昨年は売り上げを伸ばしたが、長期低落傾向に歯止めが掛からない。ただ、創業400年の取り組みの成果が現れるには時間も必要。従業員確保や機械の老朽化など業界の課題を見据えて解決に取り組みたい。

 (一ノ瀬秀治・肥前陶土協同組合主事)

 ◇…家   具…◇

 前年同期比で売上高が増えた組合員は少なく、6割が「変わらない」としている。景況感は改善よりも悪化の見方が強く、販売店からも「消費マインドが読めない」といった声が聞かれる。売り上げを確保するためにインターネット販売や受注生産を始めた企業もある。

 (樺島雄大・諸富家具振興協同組合理事長)

 ◇…建   具…◇

 組合の資材共同購入額は前年同月比34・6%の増。医療・福祉施設の新設工事などで受注を伸ばし、4月からの累計は15%増で推移している。前月比は6・3%増で、2カ月連続で前年実績を上回った。

 (石井敏明・県木工業協同組合理事長)

 ◇…機械・電機…◇

 取引先の中間決算期で納期に追われる企業も多く、電子部品や食料品、半導体関連を中心に忙しかった。暑さも和らぎ、製造現場の作業効率が向上してきており、官公庁向けも安定した受注が見込めている。

 (中村敏郎・県工業連合会会長)

 ◇…印   刷…◇

 全体の売り上げは前年にわずかに届かなかった。チラシ、カタログギフトともに厳しい状況。株価は上がっているものの、主要取引先の流通業はまだ元気になっていないようだ。9月は歳暮の営業を本格化させる時期。出だしはまずまずだが、取引先の発注量は全体的に減っている。

 (平川直樹・県印刷工業組合理事長)

 ◇…石   油…◇

 県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は前月よりも40銭高い134円20銭。ほぼ変動はなかったが、原油高で下旬から値上がりが続いている。節約のため給油を控える客が増えないか気がかりだ。8月のガソリン販売量は前年同月比4・3%の増。軽油は4・9%増だった。

 (光武繁・県石油商業組合専務理事)

 ◇…I C T…◇

 システムの更新などで、売り上げは各社とも堅調に推移した。ただ、技術者を確保できずに頭を抱える組合員も多い。業種を問わず人手不足が深刻化する中、ICTの導入で省力化を図る企業が増えている。自らが手本を示しながら顧客に合った活用を提案し、需要を喚起していきたい。

 (菰田秀三・県ソフトウエア協同組合理事長)

 

 ◇…バス・タクシー…◇ 乗り合いバスの運送収入は前年同月比0・9%の増。ICカードの導入効果もあり、3カ月連続で前年を上回った。高速バスも天神線・空港線ともに8・0%の増だった。一方、貸し切りバスは16・1%の減。外国人の団体ツアー需要が一巡し、輸送人員も8・9%減だった。タクシーは全域で稼働が伸びず、運送収入は1・0%減だった。

 (江上康男・県バス・タクシー協会専務理事)

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