ユネスコ無形文化遺産に登録された5つの祭りの先陣を切る唐津くんちの曳山「酒呑童子と源頼光の兜」。後ろには戸畑祇園大山笠の「提灯山笠」などが続いた=2017年5月撮影、福岡市役所前

■固有の価値にお墨付き

 先陣を切り、唐津くんちの11番曳山(やま)「酒呑(しゅてん)童子と源頼光の兜(かぶと)」が九州一の繁華街を駆けた。今年5月、福岡市天神に九州5都市の「山・鉾(ほこ)・屋台行事」が集結したユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産登録記念の特別巡行。博多祇園山笠に戸畑の提灯(ちょうちん)山笠、八代の傘鉾(かさぼこ)-。「世界の祭り」認定をともに祝った。

 「和食」「和紙」の登録でも知られる無形文化遺産だが、「富士山」「姫路城」の世界遺産とは違う。担当の文化庁伝統文化課は「世界遺産は人類普遍の素晴らしいもの」とし、無形文化遺産は「世界各地のさまざまな文化のそれぞれの素晴らしさを評価したもの」と明快に答える。

 

▼観光客軒並み増

 一緒に認められた祭りは18府県33件。昨年12月の登録直後の秩父祭(埼玉県)や4月の長浜曳山(ひきやま)祭(滋賀県)など各地で「ユネスコ効果」が表れ、軒並み観光客が増加している。2日から始まる唐津くんちも、曜日の並びがよく、人気アニメの「聖地巡礼」効果も重なり、10月中旬の関係者会議では唐津曳山取締会の大塚康泰総取締(73)は「見物客はきっと増える。気を引き締めてやっていこう」と呼び掛けた。

 活用すべき観光資源としても期待は高いが、より重要なのは後世に守り伝えていくことだ。33件はすべて有形、無形の国重要民俗文化財で、国の保護措置の上に国際的な評価がある。ユネスコが新たな手立てを取るわけではなく、国内でしっかり守られているからこそ認められた。

 曳山のうち最も古い「赤獅子」は製作から約200年が経過している。14台を2年に1台のペースで塗り替え・修理している。市費に県費、1993年からは国費が半額投入され、各町の負担は8分の1。ただ近年は台車の修理も重なり、5千万円を超えるケースが続き、地元負担も増す。

 

▼保存継承へ責務

 国の補助金は本年度、総額約1億5千万円で、前年度比1・5倍と過去最高だが、対象となる重要無形民俗文化財は約300件。今回の登録で修理・新調の機運も高まり、「待ってもらっているところもある」(文化庁)という。

 各地の保存団体をとりまとめている全国山・鉾・屋台保存連合会事務局の伊藤曉さん(44)=埼玉県秩父市教委職員=は「登録を機に各地で、祭りを守っていくという意識が強くなっている」と話す。

 ユネスコ無形文化遺産登録は地域固有の祭り文化を高く評価すると同時に、保存、継承という未来への責務をさらに課すことになる。

 

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 昨年12月、ユネスコ無形文化遺産への登録が決まった唐津くんちの曳山行事。登録後初となる本番を前に、その効果と今後の課題を探る。

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