3日の文化の日を前に、佐賀新聞文化賞が、佐賀大学学長の宮崎耕治さんに決まった。有田窯業大学校を統合して芸術地域デザイン学部を発足させるなど、教育分野での窯業界への貢献が評価された◆歴代受賞者には陶芸関係者も並ぶ。昭和31(1956)年の栄えある第1回は、焼き物の彫刻で一世を風びした二宮都水(にのみやとすい)である。江戸時代から有田では、ろくろを使わない彫刻を「ひねり細工」と呼んで名工を輩出し、都水はその系譜を継ぐ◆明治13(1880)年、愛知県・瀬戸に生まれ、33歳で有田に移住。香蘭社と深川製磁を経て、柿右衛門合資会社の工場長になっている。昭和3(1928)年には彼が細工し、柿右衛門窯で焼いたキリンの置物が、佐賀県から昭和天皇即位御大典奉祝品として献上されるなど、非凡な技量を見せた◆特筆すべきは、独立して作った磁器製の帯留(おびどめ)で人気を博したことだ。帯留のひもがすべらなくする方法を考案し、特許をとり無償で公開、業界への大きな貢献となった。有田きっての小物師(こものし)とも呼ばれたゆえんである◆「伝統を打ち破り、常に新しいものを作り出していくのが祖先の偉業に報いる道だ」。文化賞受賞時の言葉である。異彩を放った都水の時代を経て、今また新たな力となる佐賀大が加わり、歩み始めた。陶都有田の厚みがましていく。(章)

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