「知り合いが同じ症状でがんと言われたから自分もそうなのではないかと心配」「知人が同じ病気でこんな治療を受けて良くなったので私も受けたい」といったご相談を受けることがあります。

 これは良性の病気でも悪性の病気でも同じことで、主治医や担当医から十分説明を受けていても、周りから入ってくる情報で不安になる気持ちは、どなたにも一様にあるものだと思います。

 患者さんは自分の症状、病態を柱として考え、近くに似たような状態の方がいれば自分と比較し、どうなのかを考えるでしょうし、隣の芝生は青く見えるものですから、自分とは違うところを不安に感じるものだと思います。

 大きな病院では、入院の際に2~6人の大部屋に入ることは珍しくありませんし、診療科ごとに病棟が分けられていますので、同じ部屋に同じ診療科の患者さんが入ることになるわけですが、同じ病気の人を同じ部屋に入れたほうがよいのか、別の部屋になるようにしたほうがよいのか、悩みどころでもあります。

 同じ病気の人が周りにいると、病気に対する理解が深まり、またつらい治療であっても励まし合えるといった利点がありますが、一方で病状は細かいところで異なるため、人と比べて悩むという事態も起きます。

 どのような病気でも、誰かと全く同じ経過をたどることはまずありません。同じ病名を告げられても、人によって症状も違えば病気の状態も違います。私たち医師は、患者さんお一人お一人の状態を勘案しオーダーメードで診療計画を立てます。なので同じ病気でも説明の仕方から違いますし、治療のご提案も変わってきます。

 私たちはたくさんの同じような病状の患者さんを診ており、たくさんの引き出しを持っています。不安があるときは一人で考え込まず、担当医に相談していただくのが、よりよい治療への一歩ではないかと、私は考えています。(なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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