きょうは速記記念日。日本の速記文字を作り出した田た鎖くさり綱こう紀き(1854~1938年)が、東京・日本橋で初めて速記法講習会を開いた日にちなむ。1882(明治15)年のことである◆速記といえば、東京勤務だった21年前を思い出す。国会会議録を作成している、佐賀出身の衆参の速記職員3人にインタビューしたことがある。自民、社会、新党さきがけの連立政権のころで、「連立時代になって仕事が忙しくなった」と言っていた。与党内調整という裏の動きが表の審議にも影響したという◆「原稿にミスがあると政争の具にされたりするのでプレッシャーがかかる」。そんな苦労話の一方で「記録が永久に残る」と、一様にやりがいを語っていた。まさに政治を縁の下で支えている◆速記者の育成にはお金、時間のコストがかかることから、衆院にはコンピューターの音声認識システムが、参院は録音を聞き文字入力する方式が導入されている。今も速記なのは、速報性が求められる予算委員会と本会議だけ。時代の流れだが、速さと正確さで、まだ機械は速記にはかなわない◆1日には第4次安倍内閣が発足する予定。国会論戦が始まれば、焦点は憲法改正だろうが、内政や外交など与野党の政争の火種はくすぶる。白熱の議論の裏には、速記者の存在があることも知っておきたい。(章)

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