2度目の業務改善命令を受けた商工中金の記者会見で、頭を下げ謝罪する安達健祐社長(左から2人目)ら=25日午後、東京都中央区

 経済産業省は25日、中小企業を対象にした国の危機対応融資で不正があったとして、政府系金融機関の商工中金に5月に続く2度目の業務改善命令を出した。商工中金は同日、不正が4609件、融資実行額計2646億円に上ったとし、全体の2割超に当たる役職員800人以上を処分すると発表した。異例の大規模不正を受け、世耕弘成経産相は「解体的な出直しが不可欠」と述べ、業務や組織の抜本的な見直しを求めた。

 商工中金の安達健祐社長は中小企業庁長官から改善命令を受けた後、都内で記者会見し「適切な時期に社長の職を退く」と表明。安達社長の在任中の報酬をゼロにするなど幹部の報酬を減額し、法令順守担当の役員2人は辞任した。不正の重大性を知りながら適切に対処しなかったとして、当時社長だった元経産事務次官の杉山秀二氏ら旧経営陣にも報酬返納を求める。

 監督官庁としての責任を示すため、世耕経産相は給与2カ月分の自主返納を決め、事務次官と中小企業庁長官を厳重注意処分にした。元経産次官の安達社長の後任は民間から選ぶ。有識者会議を設置し、年内に見直し案をまとめる。

 業務改善命令では、責任の明確化や再発防止策の策定、管理態勢の強化などを求めた。経産省は、問題の根本原因として「経営陣が過度な業績プレッシャーをかけて計画値の達成を推進した」と批判した。

 商工中金が同日公表した調査報告書によると、税金で利子を補給する危機対応融資で書類を改ざんし、経営が健全で本来は制度の対象にならない企業に融資していた。不正は制度が始まった2008年度から行われていた。融資を受けた企業は利子が低く抑えられるが、税金は無駄遣いになる。

 不正は全100店のうち97店で行われ、444人が関与していた。危機対応融資以外でも資料改ざんなどが見つかった。

 危機対応融資の不正では、上司が融資目標達成に向けた圧力を強め、一部の営業課長が不正行為を部下に指示した例があった。これとは別に、取引先を対象に実施している統計調査では、担当者が電話などでの聞き取り調査を行わず、架空の数値を記入していた。

 問題は16年に鹿児島支店で職員の指摘で発覚。第三者委員会のサンプル調査で不正の広がりが明らかになり、全体を調査した。改善命令は経産省のほか、金融庁、財務省、農林水産省の連名。【共同】

 ■佐賀支店は不正25件

 商工中金は25日、公的制度の「危機対応融資」を巡る不正問題で、佐賀支店でも書類を改ざんする不正行為が25件あったと発表した。「個別の公表はできない」(本店広報部)として、不正が行われた時期や融資額、関与した職員の人数などは明らかにしていない。

 広報部によると、融資先企業の従業員数などが書かれた書類を支店職員が改ざん。人数を水増し、雇用を維持しているように見せかけ、条件を満たさない企業に利子を補給していた。

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