試作品の出来栄えを確かめるガブリエル・タンさん(左から2人目)と平田尚士社長(中央)ら=佐賀市諸富町の平田椅子製作所

■北欧・北米に照準 海外向け家具に注力

 シンガポールを拠点に海外への販路拡大を目指している佐賀市諸富町の家具メーカー、レグナテック(樺島雄大社長)と平田椅子製作所(平田尚士社長)が、海外のインテリアデザイナーら6人と連携して製品開発プロジェクトを始めた。来年3月に同国で開かれるアジア最大の国際家具見本市に十数点を出展し、海外主要都市の富裕層にアピールする。

 プロジェクトメンバーはシンガポール、スウェーデン、ノルウェー、東京のデザイナーのほか、プロモーション映像やカタログなどを手掛けるスイス人2人。2年前から両社の助言役を担ってきたシンガポールのデザイナー、ガブリエル・タンさんがプロジェクトリーダーを務め、協業経験のある他の5人を選んだ。

 想定する客層はシンガポールのほか、インテリア分野で注目度の高い北欧や北米などの高所得者層。両社は高い技術力を生かし、販売先の気候状況による木材の変形なども考慮して製品を仕上げており、販売価格がどうしても高くなるためだ。コスト削減のため現地生産に切り替えている高級家具メーカーも多く、デザイン力で付加価値を高めて商機を狙う。

 2015年の日本製木製家具の輸出額は34億円。海外からの輸入額2645億円の2%にも満たず、一部大手メーカーがアジアを中心に輸出しているのが実態だ。海外での日本製家具の認知度はまだ低く、タンさんは「これぞ日本製という家具を目指していきたい」と意欲を語る。

 メンバーは今月4日から1週間、諸富町に滞在し、材質や製法を綿密に打ち合わせした。名尾和紙や肥前びーどろなどの伝統工芸にも触れ、完成イメージやプロモーション映像のアイデアを膨らませており、スウェーデンのデザイナーは「木材の種類が豊富で、多様なデザインが試せる」と物流網もそろった産地の魅力を指摘する。

 日本の伝統的な木造家屋をイメージし、タンさんがデザインした家具の試作もスタート。表面を焦がした焼き杉のキャビネットやいすなどで、木目の美しさを引き出すために墨による染色を何度も試している。

 タンさんの要求は高く、キャビネットの柱の太さに関してミリ単位で修正を迫るほど。レグナテックの樺島社長は「メーカーだけでデザインすれば、可能かどうかという視点で新製品づくりが始まる。現場には無理を強いるが、要求に近づける努力を続けることで、技術や意識の向上にもつながる」と前を見据える。

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