♪とんとん とんからりと 隣組 格子を開ければ顔なじみ 回して頂戴 回覧板… こんな軽快な歌い出しをご存じの方も多かろう。戦中の歌謡曲「隣組」である。作詞は、芸術家・岡本太郎の父親で漫画家の岡本一平だ◆隣組は各集落につくられた官主導の銃後組織。戦時の相互監視の目的もあったが、それはさておき、前身は江戸時代までさかのぼる。「五人組」と呼ばれた集落内の相互扶助組織である。古来、「分かち合う、助け合う」の精神がこの国にはあった◆最近は「分かち合う」に光が当たる。住宅の空き部屋に観光客が泊まる「民泊」、街なかで自転車や車を共同利用する「シェアリング」が拡大中だ。使いたい時だけの合理的な考えも含まれるが、エコだったり、「お互いさま」の心も宿る◆一般の人が有料でマイカーに客を乗せて運ぶ「ライドシェア(相乗り)」。今は原則禁止だが、将来的には解禁の可能性もある。こうしたシェアリングエコノミー(共有型経済)が注目されている◆「所有」から「共有」へ―。時代を象徴しているが、お隣さんから醤油や味噌を借りるなんてことは昔からあった。古くて新しい考え方ではなかろうか。シェアリングは、お互いを信用してこそ成立する。人を人として尊重することから始まって、街づくりに続く流れもできるだろう。(章)

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