小型船を調べる唐津海上保安部の保安官や唐津署員ら

 金塊約206キロを小型船で唐津市鎮西町の名護屋漁港に密輸したとして、日本人や中国人計9人が関税法違反(無許可輸入)などの罪で起訴された事件で、主犯格とみられる男の初公判が26日、佐賀地裁で開かれる。公海上での積み替えなどの詳しい手口や、国内外での調達・流通ルートを含め、「闇の金塊ビジネス」の全体像の解明につながるかが焦点となる。

 初公判が開かれるのは、密輸事件発生後に出頭し、主犯格とされる山崎竹助被告(66)。事件を巡っては、起訴された日本人6人のうち山崎被告ら3人が青森県むつ市在住で、青森が一定の拠点となっていたことがうかがえるが、中国人とどう接点を持ったのかは明らかになっていない。

 密輸のために昨年購入したとみられる小型船の資金の出どころや、刻印がつぶされて通常の売買が難しい状態だった金塊をどう流通させるつもりだったかも不明だ。捜査関係者によると、関与した疑いのある別の中国人の男が、福岡空港から韓国経由で中国に逃走しており、背後に犯罪組織が絡んでいる可能性もある。

 起訴状によると、山崎被告ら9人は氏名不詳者らと共謀して5月30日、東シナ海の公海上で、国籍不明の船から小型船「第三十六旭丸」に金塊を積み替えた。翌31日、小型船を名護屋漁港に接岸させ、税関の許可を受けずに陸揚げし、消費税を免れたとしている。山崎被告を除く8人が、船での運び役と陸側の荷受け役を分担したとされる。

 林子忠被告(41)ら中国人3人の初公判は11月6日、木下憲一被告(65)ら日本人4人は10日に予定されている。小型船の船長斎藤靖昭被告(50)の期日はまだ明らかになっていない。

 公判では、1回の押収量としては過去最多となる時価約9億3千万円(事件当時)の金塊の没収が認められるかも焦点になる。

 財務省関税局によると、2015事務年度(7月から1年間)の金密輸の処分件数は294件に上った。約97%に当たる285件は罰金と消費税を納めれば金を返却する通告処分で、組織性や悪質性があるとして事件化されたのは9件だった。このうち一審で金の没収を認めた有罪判決は5件で、司法判断は異なる。

 関係者は「没収の判決が出れば、一度に大量に運ぶ船を使った密輸の抑止にもなる」と裁判の行方を注視している。

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