いよいよ投票日がやってきた。手持ちの1票をどう使おうか。小選挙区と比例代表があるから、それぞれ考えなくちゃ…。18歳選挙権が認められて初めての衆院選。頭を悩ます若者もいるだろう◆哲学には「ビュリダンのロバ」というたとえ話がある。「腹の減ったロバを二つの干し草の山の真ん中に置くと、どっちを食べていいかわからなくて、結局、飢え死にしてしまう」。解剖学者の養老孟司さんが『特別講義 手入れという思想』(新潮文庫)で紹介している◆自ら判断できないロバを救うため、コンピューターに委ねたらどうなるか。「どちらを食ったら得かをすべて計算で決めようとします」。それぞれの干し草の量を量り、移動の距離を測り、道のでこぼこまで調べる。延々やってるうち「やっぱり腹が減って死んでしまうんですね」◆実はこの講義があったのは20年前のこと。進化した現代の人工知能(AI)なら、このジレンマを解決しているかもしれない。面倒な判断はAIに任せてしまえたら楽だが、それでは人間の存在意義が消えてしまう◆いくら悩んでも大丈夫。私たちの脳はコンピューターとは違い、何に重きをおくか、自然に「バイアス(偏り)」がかかっている。だから、ちゃんと結論にたどりつける。ロバのように立ち止まらず、まずは行動を。投票へ行こう。(史)

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