中国共産党の第19回大会が北京で開幕した。党トップの習近平総書記(国家主席)は冒頭の活動報告で、中華民族の偉大な復興とする「中国の夢」の実現に向け、挙党態勢で臨む方針を示した。

 習氏はまた「党の指導」の下、軍事力を強化し、反腐敗闘争や政治的引き締めを継続する考えを鮮明にしており、外交、内政の両面で強硬路線が続きそうだ。

 だが、長期的に国内の安定を保つには、民主化に向けた政治体制改革や経済の質の向上を図る改革が不可欠だ。日本は中国の動向を見極め、入念な対中戦略を講じたい。

 党大会は5年に1度。今大会で習政権2期目の新指導部が誕生する。習氏は既に党の「核心」の地位を持つが、今大会で、自らの新政治思想を党規約に盛り込み、さらに権力基盤を強化する。

 習氏は報告で反腐敗闘争について「圧倒的な勝利を得た」と成果を誇示し、闘争を継続する考えを示した。習政権は「虎もハエもたたく」として巨悪から末端まで官僚の不正を取り締まり、国民から幅広い支持を得た。

 しかし、中国には「親族も含めて完全に清廉な政治家はほぼいない」ともいわれる。汚職摘発が恣意(しい)的に政敵を倒す権力闘争に用いられることはないのか。公正さを担保するには「司法の独立」や権力を監督する制度を構築する必要があろう。

 また、習政権は共産党独裁の堅持を究極的な狙いとする国家安全戦略に力を入れ、西側民主主義の受け入れを拒否。人権派弁護士を大量に拘束し、インターネットや雑誌の言論統制を強化するなど、政治的引き締めを強めてきた。

 習氏への権力集中やイデオロギー重視は「文化大革命の再来」とさえいわれる。だが、文革中の中国が鎖国状態だったのに比べ、今、国民は海外旅行や留学、ネットで国外の様子を知ることができる。強権的な手法に頼って長期的に国内の安定を維持するのは難しいだろう。圧政ではなく、国民の多様な意見をくみ上げることができる民主化に向けた政治体制改革が不可欠だ。

 2期目の習政権の最も重要な課題は経済だともいわれる。習氏は「中国の夢」へのステップとして、党創建100年の2021年に「小康社会」(まずまずの暮らしができる社会)を全面的につくることを目標に掲げる。

 だが、中国の経済成長率は低下し、昨年は6・7%と26年ぶりの低い伸び率だった。今年上半期は6・9%と通年目標「6・5%前後」を上回ったが、景気刺激策を弱めれば落ち込みは必至だ。

 習氏は報告で、国有企業の過剰生産の解消や債務の削減、技術革新、農村振興などの経済改革の必要性を改めて訴えた。しかし、経済改革は一向に進展していない。

 政府が経済の失速を避けようと、改革より景気刺激策に走るからだという。改革は重要だが、目先の成長率が下がれば国民の不満は強まる。習政権は難しいかじ取りを余儀なくされている。

 政治、経済、軍事の各分野で国力を増す人口13億人の大国、中国がアジアと世界に与える影響は大きい。隣国の日本にとっては、中国が国際協調を貫き、国内が長期に安定していることが望ましい。日中友好の大局を重んじながら、中国に平和主義と政経両面の改革を促す積極的な対中戦略が必要とされている。(共同通信・森保裕)

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