大学内に設けられた佐賀市議選の期日前投票所で1票を投じる学生=佐賀市の佐賀大本庄キャンパス

 衆院選は後半戦に入った。選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられて初めての総選挙。22日の投票日に向け、若い世代も自らの判断ができるように各党、各候補の政策を見極めてほしい。

 佐賀新聞社は公示前、県内5政党の政策責任者座談会を開いた。昨年の参院選に続き、今回も大学生2人に参加してもらったが、従来の座談会とは明らかな変化が見えた。それは、各党責任者の語り口。一方的に考えを述べるのではなく、学生たちを意識し、分かりやすい、優しい言葉を使って丁寧に説明しようとしていた。

 若者が関心を持てば、訴える側も伝える努力をする。「そんなに興味はなかった」という広瀬望美さん(19)は議論を聞き、「県民のことを考えてくれていることが伝わり、頼もしかった。それなら私もよく考えて投票しなきゃと思った」と感想を述べた。清川裕介さん(24)は「政党を観察する上で新たな指針を得られた」と話し、有権者としての意識がさらに高まったようだった。

 政治って、なんとなく難しい-。若い世代はそんな先入観を持っているのかもしれないが、接する機会があれば関心は高まり、政治との距離は縮まってくる。選挙は政治を身近にする絶好の機会であり、新聞、テレビの報道や候補者の街頭演説などに、能動的に触れてみてほしい。

 選挙権年齢の引き下げに伴い、学校現場では主権者教育が行われている。ただ、公平性や中立性に配慮して、具体的な政治課題をテーマにする事例は少ないようだ。模擬投票などで選挙の意義や仕組みを学ぶのは大切だが、それだけにとどまっては主権者としての力が磨かれるだろうか。

 現実に社会が抱えている課題に対し、主権者は自らの判断を下さなければならない。賛否が分かれる難題にも向き合い、さまざまな見方を理解した上で自分の考えをまとめる。その訓練を意識して重ねていかないと、「劇場型」といわれる政治状況に振り回されたり、「風」やムードに流されたりして冷静な選択ができない。

 選挙では幾つかの重要な課題が注目され、選挙戦を通して「争点化」してくる。今回は消費税増税や憲法改正、原発政策のほか、安倍政権の評価なども問われる。こうした争点について、各党、各候補者の主張を比較してほしい。それぞれの課題に対する関心の持ち方には濃淡があるだろうが、自分なりの優先順位をつけ、1票の投じ先を決めたい。

 きのう15日は、佐賀市議選の投票日だった。若い世代は投票に行っただろうか。投票という大事な政治参加を重ねながら、主権者として成長していきたい。それが政治の緊張感を生み、質の向上につながっていく。(大隈知彦)

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