人間の可能性は無限だ。熊本県知事である蒲島郁夫さん(70歳)の逆境からの人生で実感する。高校時代は落ちこぼれで、20歳の時は農協で肥料やプロパンガスを配達していた青年が、後に米ハーバード大の博士課程に入学。そして東大法学部の教授になった◆自伝『運命 農奴から東大教授までの物語』(三笠書房)に展開する蒲島さんの歩みに引き込まれた。少年時代は牧場主、政治家、小説家になりたい―との三つの夢があった。貧しい家に生まれ、経済的にも大学進学の選択肢はなく、地元の農協に就職する◆向いてないと思い始めた頃に派米農業研修生の制度を知り、試験に通っての渡米が転機に。農場での過酷な労働に耐え、研修の最後に州立大学で学んだ日々が自身を変えた。猛烈に勉強がしたくなったのである◆畜産学から政治学へと転身し、努力を重ね運をつかんでいく。そこには下地があった。新聞と読書が好きだったことである。そして後に大いに役立ったのが、新聞配達の経験だ。家計の足しにと高校3年まで11年間続けた◆配達後は必ず各紙を熟読する習慣がついた。夢は政治家(知事)になってかなう。それは読書で育まれ、新聞で活字に親しんでいたことが支えたからだろう。きょうから新聞週間。常に身近な存在で、学びの基礎をつくる新聞でありたいと思う。(章)

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