「今回が本当の勝負」。希望の党の大串博志(52)陣営は口をそろえる。2014年12月の前回衆院選は選挙区割り変更で佐賀県は3から2に減り、大票田の唐津市など足場のない旧3区で急ごしらえの戦いを強いられたが、比例九州の単独1位で優遇される「特殊事情」で議席を守った。

 新2区で3年間、人柄とフットワークを生かして後援会づくりに奔走。秘書を増やして地区公民館単位で会合や祭りに顔を出し、自民支持が根強い地域に切り込んだ。民進要職を務め露出も増え、加計(かけ)学園問題では安倍晋三首相を追い込む姿がテレビに映って知名度を上げた。永田町で多忙でも、地元での活動量は落とさない。「強大な組織に勝つには草の根しかない」

 衆院解散直後に起きた民進の希望への合流。当初は陣営でも「大串さんはいいけど民進は嫌という声は多く、新党がいい」と歓迎する向きがあったが、排除の論理などでの「小池劇場」の失速に加え、1区の原口一博の希望公認辞退も支持者をざわつかせた。

 岡田克也ら民進の代表経験者が来援で大串の政界での実績や政策通ぶりを強調し、「新党のリーダー」を演出しながら揺さぶられた大串党の結束を図る。陣営幹部は力を込める。「いい人だけではいけない。『絶対に小選挙区で勝つ』と押し上げる勢いが必要だ」

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 「『電話一本』では政治はできない」。10日、出陣式を終えたばかりの自民の古川康(59)の選挙事務所。選対本部長の大場芳博が大串のキャッチフレーズを引き合いに檄(げき)を飛ばした。「与党の国会議員」として陳情や要望に丁寧に対応し、実現させてきた古川の仕事ぶりをもっと浸透させるよう指示した。

 市や町の自民系議員は、自身の地盤の行事に顔を出す大串にいらだちを募らせてきた。「古川もよく回っているし、じっくり話を聞いている。握手だけと、どっちがいいか」。自民支持層へも支持を伸ばす大串への対抗意識は相当強い。

 前回、古川は公示直前に知事を辞職して出馬した。準備期間もなく元衆院議員の保利耕輔の選対から全面支援を受けた。今回は「初の選挙」と位置付けて体制も一新、事務所は唐津市から武雄市へ移し、2区の自民党25支部が「唐津任せでなく全員が動く」(陣営幹部)態勢を整えた。

 党組織を生かした選挙戦を展開し、事務所には400を超える団体、個人の推薦状が並ぶ。「古川先行」との報道があった13日、陣営幹部は「そんな感触はない。絶対的な強さがあった保利先生時代の『殿様選挙』とは全く違う。これまでで一番厳しい選挙」と危機感を強調した。

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 共産は公示直前に1区の候補擁立を取り下げたため、選挙区は大森斉(62)の運動に集中して「玄海原発の再稼働反対」などを訴えている。自民や希望に相対する3極の構図の中、リベラル系野党としての受け皿になるのをアピールしながら支持拡大を図る。(敬称略)

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