福岡市の自宅で料理教室を開く桧山ひやまタミさんは、91歳の今も現役。「便利」「手間なし」をうたう食品があふれる時代に、家庭のご飯一食一食が家族の命をつなぐ営みであることを伝える◆教室の生徒がタミさんの台所で驚くのは生ごみの少なさだ。「だって捨てるところがないやろう。野菜は皮もおいしく食べられるし、卵の殻は細かく砕いて、鍋や水みず垢あかの掃除に使ったり、植木の肥やしにもなるよ」。戦中派の「もったいない」生活術を若い人に伝授する。自著『いのち愛しむ、人生キッチン』(文藝春秋)には知恵が詰まる◆食材の、捨ててしまいがちな部分を活用するレシピを投稿できるウェブサイト「モッタイナイキッチン」が人気という。生ごみを減らそうと、仙台市が9月に開設。工夫を凝らした投稿レシピは日に日に増えて64件に◆大根の葉を捨てずに使った「大根の葉炊き込みご飯」や、出汁だしを取った後のかつお節を再利用した「出汁がらdeかき揚げ」などの献立が並ぶ。楽しみながら、ごみ減量に取り組める仕掛けだ。ちなみに佐賀市だと、年間5万4千トンの家庭ごみのうち、約3割を占める生ごみ。家庭の協力が減量に直結する◆いただく側の人たちも食べ残しに心したい。「捨てる前にもう1回、何かに使えないか考えて、手を動かす」。タミさんの教えである。(章)

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