「やっぱり少ない。時期が最悪だ」。公示日の10日、佐賀市の松原神社で開いた自民前職の岩田和親(44)の出陣式。関係者は境内を見渡し、ため息をついた。自らの選挙に追われる佐賀市議、ノリ漁期に入った漁業者だけでなく、「自主投票」の農協関係者の姿も、ほぼ見つけられなかった。

 佐賀1区は小選挙区導入の旧1区時代から、自民候補と、今回無所属で出馬した民進前職の原口一博(58)とが、交互に議席を奪い合う激戦区。岩田は自民が政権を奪還した2012年の初戦を制したが、前回14年は惜敗し比例復活。いまだ「知名度の差はいかんともしがたい」と陣営。連敗すれば次の選挙で候補者差し替えもあり得る「崖っぷち」で、焦りが募る。

 JAグループ佐賀の政治団体・県農政協議会の推薦が得られない総選挙は「記憶にない」(陣営)未知の戦い。陣営は農政協幹部に直接掛け合い、地域ごとに推薦を働き掛ける了承を何とか取り付け、地元議員を中心に各農協を回る。

 森友、加計学園問題で「支持者から『説明が足りない』とお叱りを受ける」(陣営)上、新党の「風」も読めない。野党候補の一本化で1万票超とされる共産票は原口に流れる公算が大きく、前回より1万5千票以上の上積みを目指し、組織固めを急ぐ。

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 「1区は県連とは関係ない」。原口が希望の党の公認を辞退し、無所属での出馬を表明した翌8日、民進党県連は常任幹事会で2区の選挙運動だけに集中することを決定した。会合後、国政初挑戦のころから原口を支えてきた園田泰郎代表代行は「じくじたる思いだ」と顔を紅潮させた。「昨日もだいぶ慰留したができなかった」

 厳しい言葉を連ねた園田の思いを県連関係者はおもんぱかる。「嫌われ役をやって組織としてのけじめをつけた。希望に残る2区の大串を守ろうとしたのだろう」。県連は個人が原口を応援することを拘束しなかった。実際、陣営には多くの県連関係者が入り、いつもと変わらない布陣だ。「彼なりに努力するだろう。不屈の精神を持っていると思うからね」。園田は“親心”をのぞかせた。

 もともと政党や組織よりも「原口党」と呼ばれる個人の人気で勝負してきた。無所属での戦いに支援者の反応は「かなりいい」(陣営)。「原口さんに希望は似合わない。応援しやすくなった」

 マスコミの序盤情勢報道は優劣が分かれた。「序盤はいつも負けている。焦りはないが、比例復活のない今回は1票でも負けたら落選だ。本当の原口党の力が試される」。陣営幹部は気を引き締めた。

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 幸福実現党の新人中島徹(43)はつじ立ちを重ねて「清潔で勇断できる政治」を訴える。(敬称略)

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 突然の衆院解散や新党誕生もあり公示直前まで構図が変動した佐賀1、2区は、自民、希望、共産、幸福実現、無所属から6人が論戦を展開している。2選挙区の戦いを追った。

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