ここは我慢のしどころか。NHKの大河ドラマ「おんな城主 直虎」の話である。井伊家の再興は、直虎の養子、虎松に委ねられたが、虎松は「井伊」を名乗ることと引き換えに、草履番(下足番)をするよう徳川家康に命じられる◆下足番からの出世といえば、寒い日にふところで草履を温めて織田信長の心をとらえた豊臣秀吉の逸話が有名だが、阪急電鉄や宝塚歌劇団を創設した小林一三が、こんな言葉を残している。「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」と◆与えられた仕事にベストを尽くせ、というわけだ。新卒で3年以内に離職した人の割合が発表されたが、2014年3月の大卒者は32・2%と、5年連続で3割を超えた。高卒者も40・8%と高く、ずいぶん見切りが早い◆政府は「働き方改革」に躍起だが、それを風刺した新聞広告が話題になっている。広告主はソフトウエア会社のサイボウズで「改革の号令をかけて、現場に丸投げ」「深夜残業を禁止して早朝出勤を黙認する」―。名ばかりの改革をチクリ。このあたりが高い離職率の背景か◆大河ドラマの虎松は今を時めく俳優の菅田将暉さんが演じていて、悔し涙で下足番を引き受ける。後に「徳川四天王」となる人物。どんな働きぶりを見せてくれるだろう。(史)

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