衆院選候補者の出陣式で拍手を送る支持者。この国や佐賀の将来図をどう描くか、有権者の視線が注がれている=佐賀県内

 政権選択の様相を呈した衆院選が10日、公示された。関心を集めた野党再編を経て確定した戦いの構図からは、改憲や消費税増税の是非、社会保障の在り方など重要課題が争点として浮き上がった。この国のかたち、佐賀の将来図をどう描こうとしているのか。佐賀県内の有権者は候補者の訴えを鋭く見つめる。

 選挙権が18歳に引き下げられて初の衆院選。6月に投票権を得た長瀬愛さん(18)=東明館高校3年、鳥栖市=は「18歳だから感じること」を基準に主張を比べる。「少子高齢化が進んで、私が大人になった時に若い世代の負担がどうなるかが気になる」と、社会制度のビジョンに注目する。

 賛否が分かれる改憲論議。自民党が憲法への自衛隊の明記などを公約に掲げ、論戦の表舞台にせり出してきた。非常勤の予備自衛官を務める県内の40代男性は「国内では軍隊ではないとされながら、海外からは軍隊とみられている。複雑な思いをしてきた隊員も少なくない」。争点化を歓迎し、指摘する。「北朝鮮情勢が緊迫する中、位置付けを明確化しないと、万一に対応できない」

 2019年10月の消費税増税を巡っては、野党が凍結や反対を掲げた。デジタルコンテンツなどを手がける会社社長の天賀光弘さん(40)は「人手不足が深刻だが、人件費を上げるところまで踏み切れる企業はどれだけあるか」と地方の中小企業の窮状を訴える。「増税を論じる前に、地方の企業の声を吸い上げ、経済効果が行き渡るような施策を」と注文する。

 社会保障に関して、安倍晋三首相は高齢者重視から「全世代型」への転換を表明している。3歳と1歳の息子を保育園に預けるパートの川崎尚美さん(36)=杵島郡白石町=は毎月の保育料負担が約5万円。「もう少し軽減してほしいし、保育園に入りやすくなる制度や環境があった方がいい」と支援充実を望む。

 一方、佐賀市内の高齢者福祉事業所で管理者を務める溝上剛さん(43)=武雄市=は「子どもたちを取り巻く状況に対応するのは当然」と理解を示しつつ、高齢者福祉を支える施設の厳しい現実を口にする。介護職員の処遇に関し、改善の手だてを国は講じてきたと評価しつつ、人材不足は常態化しており、「現場に改善の実感はない」。実効性のある政策が示されるのか、見定めようとしている。

 希望の党が「原発ゼロ」を掲げたことで、原発・エネルギー政策にも有権者の関心が向かう。九州電力玄海原発3、4号機の再稼働手続きが進む東松浦郡玄海町で農業を営む20代男性は「是非を話し合うのはいいこと」としながら、代替案がよく見えない状況に「ただの人気取りでは」と冷ややかだ。「原発以外のクリーンエネルギーがあればいいけれど…」。踏み込んだ論戦を求める。

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