衆院選が公示された。突然の衆院解散となり、新党がふたつ結成されるなど混乱が続き、有権者には戸惑いもあるだろう。今回の選挙は、約5年間続いた安倍政権継続の是非が最大の争点になる。

 解散後の政党の離合集散などを見ていると、政治の劣化は進んでいる。「自己都合」としか思えない解散の理由も分かりにくかったし、野党第1党が一夜にして事実上の解党に至った。これを有権者がどう判断するのか。この国の大きな分岐点になると考え、私たちも心して投票に臨みたい。

 選挙戦の構図は決まった。政権継続に国民の信任を求める自民、公明。「改革保守」を掲げ、政権交代を訴える小池百合子東京都知事が率いる希望の党。安倍政権を批判し、憲法に基づく政治を主張する立憲民主党や共産、社民両党。政権選択を巡り「3極」が競う選挙となる。

 日本維新の会や日本のこころも合わせ計8党が候補者を擁立した。

 政権の評価の基準の一つは、アベノミクスの成果をどうみるかだろう。経済は総じて好調だが、庶民には好景気の実感は薄い。首相の政治手法も、森友・加計学園問題では、野党から「政治の私物化」との批判が出た。

 政策面の主要な対立点は憲法改正や消費増税、原発政策になろう。立憲民主党は「権力者による憲法改悪を許してはならない」と主張。自民、希望、維新、こころは憲法9条を含む改憲論議に前向きな姿勢を示す。公明は「国民は自衛隊を違憲とは考えていない」として9条改正には慎重だ。

 自民は消費税10%への増税分の使途を子育て支援など「全世代型社会保障」に転換すると主張する。希望や維新、立憲民主は消費増税の凍結を掲げ、共産、社民は増税反対を訴える。希望や立憲民主などは原発ゼロも主張する。ただ財源の手当てや脱原発への具体的な行程は明確ではない。

 佐賀県の事情はどうか。1区は自民と民進党出身の無所属の前職対決に幸福実現党が絡む構図になった。2区は自民、希望の前職と共産新人の3人の争いに。中央の混乱のあおりで、従来にない組み合わせとなり、有権者も見極めが難しくなった。自衛隊の輸送機オスプレイ配備計画や原発などエネルギー政策、有明海再生に向けた取り組みが大きな争点。身近なテーマを語り、各候補者は政策論争を深めてほしい。

 今回は政権選択選挙の色合いが濃くなった。自民、公明両党による長期政権の枠組みを変えるきっかけになるかもしれない。

 台風の目となった希望の党は方向性がいまひとつ不透明だ。憲法や安全保障政策は自民との違いはなく、構図は「3極」というより「2極」に近いと見る向きもある。小池氏は自ら立候補せず、選挙後の首相指名選挙で誰に投じるかを明確にはしていない。選挙後に自民と組むことも想定しているならば、そこをはっきりして選挙を戦うべきだろう。

 各党の公約は大急ぎで策定され、生煮えの部分もある。各党は、目指す国や社会の姿とその実現に向けた政策を明確に示し、論戦を展開してほしい。私たち有権者は、各党首や候補者が何を語るのかに耳を澄ませ、その中身をしっかり吟味したい。(横尾章)

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