米軍の新型輸送機オスプレイが沖縄県名護市の海に落ちて大破した。同機は海外で事故が続いており、安全性が問題視されていたが、国内で初めての事故となる。沖縄県民が抱いていた不安が現実化した形になり、佐賀空港への配備計画にも影響を与えそうだ。

 海の浅瀬には原形をとどめず、バラバラになった機体が散乱していた。米軍の乗組員5人が無事だったことは幸いだった。しかし、現場近くには住宅街がある。民家に落ちていたらと想像すると、ぞっとする。

 沖縄県は国が進める米軍普天間飛行場の辺野古移転について反対を唱え続けている。同県では大学敷地内にヘリコプターが墜落するなど米軍機の事故が相次いだ。翁長雄志知事が「とんでもないこと」と怒るのはもっともだ。

 オスプレイは両翼に可動式のプロペラがあり、飛行機のように速く飛べるだけでなく、ヘリコプターのように垂直離着陸できる。活用範囲が広い新型機として期待も大きい。しかし、米兵2人が死亡した昨年5月のハワイの墜落事故など海外で事故が続いている。

 米軍は今回の事故について「空中給油の訓練で、給油機の燃料ホースがオスプレイのプロペラで切れて、機体が不安定になった」と説明し、機体そのものが事故原因でないことを強調する。

 ただ、その程度のトラブルが事故につながるのならば、やはり、どこか構造上に問題があると考えるべきではないのか。米側は過去の事故で、いずれも「人為的なミスが主要因」と総括しているが、今回は十分な検証を求めたい。

 日本も1機100億円超の大金で購入し、自衛隊機として使用する計画だ。今、しっかり安全性を調べておかないと、操縦する自衛隊員が危険にさらされるし、今後の事故も「人為的なミス」で片付けられる恐れさえある。

 気になるのは事故について、日米ともに「不時着」という言葉を使い続けている点だ。不時着とは、操縦者の制御がきく状態で、目的地以外に緊急着陸することを意味する。

 機体が大破している状況を見れば、「墜落」ととれる。在沖縄米軍トップの「パイロットは県民に被害を与えないように不時着した。感謝されるべきだ」という説明には強い違和感を覚える。

 事故の影響を最小限に抑えようという意図でもあるのだろうか。米軍のトラブルはいつも日米同盟の厚いベールに包まれ、十分な情報が出てこない。日本政府も過剰な配慮で米軍をかばう。この構図が今回の「不時着」事故でも出てきて、検証が不十分なまま終結しないか不安もある。

 防衛省は今、佐賀空港へのオスプレイ配備計画をめぐり、佐賀県と交渉を続けている。配備予定の17機はすべて事故機と同型機だ。また、米軍が訓練で佐賀空港を使用する可能性も残っており、事故は無関係とは言えない。

 山口祥義知事が「原因がうやむやのままで、受け入れの判断をすることはありえない」と徹底的な究明を求めているが当然だろう。

 佐賀県の場合、住宅街に落ちるのも恐ろしいが、海に落ちてもノリ漁など漁業に甚大な被害を与える。安全性に不安を抱えた機体が国防に貢献するということは考えられない。(日高勉)

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