オスプレイが不時着した-。夜が明けて届いた現場の映像に衝撃を受けた。機体がバラバラに大破して浅瀬に漂っている。これを“不時着”と呼ぶのか、と◆言葉と実態の大きな隔たりに、太平洋戦争の大本営発表を思い出した。例えば「転進」。ガダルカナル島で米軍に跳ね返されたにもかかわらず、自ら進む方向を変えたかのように偽る。2500人が全滅したアッツ島では、玉のように砕けるという美しい言葉「玉砕」と言い換えた◆防衛省は米軍発表のままにオスプレイ事故を「不時着水」としたが、これは墜落だろう。事故をできるだけ小さく見せたい意図がありはしないか。市民に犠牲がなかったのは幸いだが、落ちた先が住宅だったら、学校だったらと恐ろしい◆これを佐賀の空で飛ばそうとは。自衛隊が導入するオスプレイは、佐賀空港への配備が計画されている。防衛省が安全性を説明する時に持ち出す「事故率」はとても低い。事故率が高い空軍仕様の機体は省いた上で、最近の事故を含まないよう過去の一時期にデータを限っているからだ◆戦局の悪化でいよいよ追い込まれた大本営発表は、損害を小さく見せかけたばかりか、幻の大戦果まで伝え始める。不時着か、墜落か-。ささいな違いだろうか。もしも現場の映像がなければ不時着と信じたろう。背筋が冷える。(史)

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