出陣式で気勢を上げる秀島敏行氏。他に立候補者がなく無投票で4選が決まった=佐賀市の松原神社

 佐賀市長選挙は4人が出馬した前回から一転、38年ぶりの無投票となった。「市民のために投げ出さない」をスローガンにした現職の秀島敏行氏(75)は4期目に入る。

 秀島市政の歩みは「平成の大合併」と重なる。初当選した2005年は旧佐賀市が新たに富士町、大和町、諸富町、三瀬村と合併したタイミングであり、2年後には川副町、久保田町、東与賀町を加えて、現在の市域が確定した。

 この10年で佐賀市の姿はどう変わっただろうか。

 07年時点で23万8千人だった人口は約4千人減り、高齢化も進んでいる。

 前回の選挙戦で、最大の争点は「県都のビジョン」だった。そこで秀島氏が公約の目玉に掲げていた佐賀駅近くの「コンベンション整備計画」は調整がつかず、昨年、白紙撤回に追い込まれた。

 さらに不確定な要素も浮上してきた。九州新幹線長崎ルートに導入されるはずだったフリーゲージトレイン(FGT)は先行きが見えない。佐賀駅周辺のまちづくり計画は、FGT乗り入れを前提にしており、今後の成り行き次第では見直しが必要ではないか。

 市長肝いりで進めてきた「バイオマス産業都市」も道半ばだ。清掃工場で回収した二酸化炭素(CO2)を企業に売る予定だったが、需要が予想を下回り、大半を空中に放出していたという。

 しかも、市民への情報公開が不十分だったという指摘もある。事業が難航しているならなおのこと、ガラス張りで進めるべきではないか。

 現在の佐賀市の現状について、先日、野村総研がまとめた「成長可能性都市ランキング」で、佐賀市は「暮らしやすさ」で全国トップに評価された。

 その理由として「生活コスト全般が安く、少ないコストで質の高い住宅に住むことができる」「医療、買い物、飲食など日常生活の環境が充実している」などが挙げられていた。

 この良さを損なうことなく、今後とも磨きをかけ、さらに充実を図ってもらいたい。

 また、自衛隊が導入する輸送機オスプレイの佐賀空港への配備計画をめぐり、秀島氏は慎重姿勢を続けてきた。世界各地で事故が起き、有明海の漁業への影響も懸念され、市民の不安は強い。秀島氏は「調整の労を執る」と述べたが、引き続き、市民感覚を大切にしてほしい。

 出陣式で秀島氏は「佐賀の活性化」を最大の課題に挙げ、雇用の充実を図ると約束した。若い世代も引きつける、魅力ある県都を目指して、将来を見据えた「種まき」に取り組むよう求めたい。(古賀史生)

このエントリーをはてなブックマークに追加