日本人のきれい好きは、江戸末期にこの国を訪れた外国人には強く印象に残ったらしい。米国のペリー艦隊に随行した画家のハイネは「住民は毎日水浴する(略)全員、すこぶる温かい湯、正しく言えば熱湯につかるのである」と『世界周航日本への旅』に記している◆銭湯の源流を中世までさかのぼることができるように、日本人は大の風呂好き。東京での大学時代、共同トイレに風呂なしの安アパート暮らしだった筆者も、毎日、近くの銭湯に通ったくち。それは新鮮で思い出深い経験だった。その銭湯も、今はない◆それもそのはず、利用者の減少と後継者難で1977年に全国で1万7千軒近くあった昔ながらの銭湯は、スーパー銭湯の台頭もあって、もう4分の1以下に減ってしまった。佐賀県内でも唐津市内に1軒残すのみである◆その「恵びす湯」に行ってみた。大人280円の入浴料は日本一安いともいわれている。ガラス窓からは空と坪庭が見える開放感のある浴場。全国から旅行者も訪れ、長年通う常連客は「伸び伸びできるし、みんなとよもやま話ができるのが楽しみ」と湯上がりに話してくれた◆「人情が自慢の湯。赤字が出ないうちは続けたい」と番台に座る島崎羊子さん(69)。家族的な触れ合いは、疲れを癒やすだけでなく元気の源になる。あすは「銭湯の日」。(章)

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