原口一博氏の事務所内に貼られた「希望の党」のポスター=7日、佐賀市神野東

 「結論は出せない」。緊急に会議室に集まった民進党佐賀県連の幹部たちは一様に苦悩の表情をにじませた。佐賀市の原口一博(58)の事務所。公示を3日後に控えた7日、希望の党に合流せず、無所属で衆院選佐賀1区に立候補する本人の決断に衝撃が走った。

◇会合で怒号 

 希望公認を前提に、既に臨戦態勢だった民進県連。「組織を無視するな」「プロセスが違う」。原口を交えた会合では怒号も飛んだ。会合後、慰留に努めた県連代表代行の園田泰郎は「(無所属を)私は認めとらん」と語気を強め、報道陣に囲まれた幹部は「本人が説明するから」と突き放した。政策秘書は同日、希望公認の辞退の手続きで慌ただしく東京へ向かった。

 陣営は、衆院解散直前から希望合流への原口の迷いを感じ取っていた。支持者からも疑問の声が続々と寄せられ、スタッフは「政策を訴えているうちに、自分の信条と違うのは許せなくなったのだろう」と推し量る。11月の鳥栖市議選の事務所開きで原口が自身の決断を報告すると、会場から拍手が起こった。

 同じく希望公認の2区の大串博志(52)は、午前中の唐津市の地域祭りから武雄市の事務所に戻って緊急の選対幹部会議を開いた。「ぶれるべきではない。どうなろうと希望でやる」。大串は同調しない決意を示して沈静化を図った。

 大串に対しても「どうして希望なのか」との声は絶えない。会議後、すぐに事務所の一角で希望の理由を説明する動画を撮影した。佐賀で民主、民進の顔となっていた原口、大串。新党を巡る混乱の中で別々の道を選択した。

◇最大限評価 

 「どんな形でもしっかり応援する」。原口の事務所に駆け付けた社民党県連幹事長の徳光清孝は、原口と固く握手した。民進のごたごたを受け、社民県連は確認済みだった原口、大串の推薦方針を凍結していた。2人が直接幹部に説明するなど関係修復を模索し、「全力で応援する」という形で落ち着いた。

 小池百合子東京都知事が代表の希望に対し、社民県連内でも「解散後に自民と連携するのではないか」と警戒する向きがあった。徳光は「2人とも相当悩んだだろう。後は悪影響を最小限にとどめ、良い影響を最大限に広げる」と良好な関係をアピールした。

 民進の支持団体の連合佐賀は、仮に2人が無所属で出馬する場合でも推薦を継続することを確認していた。原口の事務所で会長の青栁直は「毎日毎日びっくりの連続」と苦笑しつつ、「他の候補の選択肢はない。比例での復活当選の可能性はなくなり、背水の陣だ。落とせん、引き締めていく」と力を込めた。

 野党共闘から一転、希望への対決姿勢をあらわにし、1、2区とも公認候補を擁立していた共産党県委員会。委員長の今田真人は原口から電話で直接「無所属宣言」を受け、「最大限評価したい。候補一本化の可能性は十分」として1区の候補を取り下げを党中央委員会に諮る。「希望は自民の補完勢力でしかない。2区はそのままで行く」。共闘の亀裂は残したまま、選挙戦へ突入する。

=敬称略=

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