もはや、大きなうねりである。今年のノーベル平和賞に、国連で7月に採択された核兵器禁止条約の成立に奔走した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が選ばれた。ICANは組織というよりも、同じ志を持つ世界の団体を結び付けるネットワークに近い◆2007年に12カ国で発足し、現在は100カ国を超える470団体が参加する。日本の被爆者団体の役割も大きく、ICANは「ヒロシマとナガサキのヒバクシャは経験を語り続け、重要な役割を果たしてきた。この平和賞は彼らへの賛辞だ」とたたえた◆ノーベル賞委員会が指摘したように私たちは今、「核兵器が使われるリスクがこれまでになく高まった世界」に生きている。ヒロシマ、ナガサキに続く3度目があれば、それは世界の破滅を意味する◆大きなうねりをよそに、日本政府は核兵器禁止条約に背を向け続けている。8月の長崎原爆の日、安倍首相と面会した被爆者が「あなたはどこの国の総理ですか」「私たちをあなたは見捨てるのですか」と悲痛な叫びを上げたが、政府はかたくなに見える◆風に吹かれて波頭が白く泡立つ海を、跳ね回るウサギになぞらえて「うさぎが跳ぶ」と表現する。核廃絶のうねりは、ノーベル平和賞という追い風を受けて、さらに躍動するだろう。そこに日本も、と願う。(史)

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