3人の立候補予定者も出席し、自民党県連が選対本部を立ち上げた合同会議=1日、佐賀市の佐嘉神社記念館

 「都会で離合集散、野合いろいろ起こっているが、地方のわれわれは正々堂々と戦う」。衆院佐賀1区に出馬する岩田和親(44)の事務所開き。自民党県連会長の留守茂幸は声を張り上げ、解散直後の野党再編の動きを批判した。

 森友、加計(かけ)学園問題で内閣支持率が急落し「安倍1強」が揺らぐ中、8月の内閣改造での回復を背に、臨時国会冒頭の電撃解散に走った安倍政権。野党の準備が整わない「勝てるタイミング」のはずだったが、「大義がない」と攻められ、都知事の小池百合子率いる「希望の党」の登場で一気に風向きが変わった。

 民進党の合流、分裂と日替わりでメディアを席巻され、自民に焦りがにじむ。参院議員の福岡資麿は風を見通せず警戒を続ける。「保守票が逃げるとは思っていないが、無党派層がどうなるか」

◇保利票 2014年の前回、佐賀1区の岩田は約2500票差で苦杯をなめた。2区の古川康(59)は約3万1千票差をつけたが、「あくまで保利(耕輔)先生の後継者としての『保利票』だった」と陣営幹部。今回は両選挙区とも激戦の様相だ。

 県連には二つの火種がくすぶる。保守分裂となった15年の知事選を機にすきま風が吹く農協との関係。環太平洋連携協定(TPP)への参加や農協改革も、両者の溝を広げた。

 解散風が吹いた9月中旬。自民関係者が農協幹部と会ったが、返ってきた言葉は「推薦はできない」。関係修復には程遠い現状を突きつけられた。「国会議員はこれまで何をしてきたのか」。組織力が集票の源泉である自民にとって、県農政協議会の後ろ盾なくしては士気にも響く。推薦願は出しているものの、参院選に続く「自主投票」となる可能性もあり、県連幹部はいらだちを隠さない。

◇生命線 もう一つの懸念材料は、前回、「0増5減」で佐賀の小選挙区が3から2に削減され、比例代表に回った今村雅弘の処遇だ。知事選で党本部が推す候補の対抗馬を模索した今村は前回、名簿順位31位の憂き目に遭った。辛うじて最終議席に滑り込んだ。

 「今回もし下位になれば、今村支持者が完全にやる気を失う。あの屈辱だけは許されない」。県連幹部は5日も上京し、党本部に上位処遇を念押しした。「感触は得ている」一方、党本部からは厳しい小選挙区での勝利を迫られた。

 自民にとって生命線となるのが公明党との選挙協力だ。「比例は公明、伏してお願いする」。両党が政策協定を結んだ2日、合同会議では自民前職の声が会場の外まで響いた。強固な組織を誇るとはいえ相次ぐ新党は比例に影響するとみられ、今村の名簿順次第では「自民が『比例は公明』と言い続けられるのか」(関係者)と危惧する。

 公明は前回、現制度で初めて獲得した「比例九州4議席」の死守が目標で、県内では昨年参院選並みの5万8千票以上が至上命題。県本部代表の中本正一は「自民との連携の中で、安定議席確保の踏み台にしたい」と強調した。(敬称略)

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 政界地図の流動化は、県内政党にも影響をもたらしている。10日の衆院選公示を前に、各党の現状を探った。

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