本番に向け発声練習をする林姫役の尾形さん(中央)=多久市北多久町

自害した林姫の菩提寺「西ノ原大明神」。境内に特設舞台を組みミュージカルで悲話を上演=多久市多久町

 多久市に江戸時代から伝わる多久家の姫君の悲話を題材に、地元劇団によるミュージカルが8、9日、同市多久町の西ノ原大明神の特設舞台で上演される。伝説は市民にはあまり知られていないといい、同劇団員は「躍動感あふれる演技で、悲話を現地で知ってほしい」との意気込みで、春から稽古を積み重ねてきた。

 上演するのは、小中高生から80代までの市民で構成する多久ミュージカルカンパニー(TMC)。今回で7回目の定期公演で、野外での舞台は初めて。上演する題目は「林姫哀話」。原著の「西ノ原大明神縁起」を代表の川内丸信吾さんが脚色し、県内の舞台劇で多くの演出を手がける地元出身の青柳達也さんが脚本を担当した。

 「西ノ原大明神縁起」は江戸時代中期、多久領七代領主・多久茂堯氏の娘林姫が、参勤交代で父の不在中、家臣と恋に落ち子どもを身ごもって自害する実話を記している。林姫をまつる大明神は、悲話とは違った形で市民から「安産の神様」として親しまれている。

 主役となる林姫役に佐賀清和高校2年の尾形響色(ねいろ)さん=鹿島市=を起用。5月には配役を決め、研修施設「東原庠舎」で夏合宿を通して演技力を高めた。公演日の数週間前からは、時代衣装をまとい、ほぼ毎日施設での稽古に励んでいる。尾形さんは「経験のない妊婦役を演じるのは大変。でも、一生懸命に演じ多くの人に感動してもらえれば」と厳しい練習に前向きに挑んでいた。

 時代劇とミュージカルという異色の組み合わせに、薩摩琵琶奏者の第一人者・北原香菜子さんがゲスト出演し、劇中に荘厳な琵琶の音色を響かせる演出も組み込まれている。川内丸さんは「専門家を呼んで出演者には迫力のある殺陣の訓練も積ませた。ミュージカルの特色であるダンスも交え躍動感あふれる舞台にしたい」と意気込み、「舞台を通し、階級による不条理な社会が多久にも実在した伝説を市民に知ってほしい」と来場を呼び掛ける。

 8、9日とも午後6時開演。上演時間は約1時間半。開場は午後5時。前売り入場券は大人1500円、小中校生500円。当日券はそれぞれ500円増。問い合わせは事務局、電話090(2097)6820へ。

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