野球部員32人を前に、コーチ生活最後のミーティングで一球の大切さを伝える永尾泰憲さん=佐賀市の佐賀西高

 「一球無二を胸に刻んで」-。2014年11月から母校・佐賀西高で常任コーチを務めていた、元プロ野球選手の永尾泰憲さん(67)=佐賀市=が、9月の九州地区高校野球佐賀大会を最後に惜しまれながらコーチの任を降りた。

 「うちの緊張しいの1番はどうかな」。9月22日、永尾さんは鳥栖工との3回戦をバックネット裏の関係者席から、愛情いっぱいのまなざしで見つめた。序盤からリードを広げられてコールド負け。1点を返し意地を見せた選手たちを、「点数は離れても、最後まで必死に戦っていた」とたたえた。

 プロ野球経験者の学生指導は2年以上の教諭経験が必要だったが、2013年施行の新制度で短期間の座学研修などで指導者になれるように。阪神などで活躍しコーチ、スカウトなども務めた永尾さんは「母校を甲子園に」と翌年コーチに就いたが、当初から3年間と期限を決めていた。

 勉強と両立して一生懸命に練習する選手たちに”本気”で応えるため、自宅がある大阪に仕事以外では一度も帰らず、毎日練習へ顔を出した。

 「何かあったらすぐに永尾さんに聞いた」。選手から慕われ、投手から遊撃手へポジションが変わることになった中平皓貴選手も「付きっきりで教えてくれたから、ここまで成長できた」と話す。

 最後のミーティングで永尾さんは「みなさんの頑張りに勇気をもらった」と礼を述べ、「EIJO(榮城)野球部の誇りを持ち、中途半端にすることなく、その一瞬を大切にしてほしい。必ず結果は出る」と激励。山本晃誠主将は「永尾さんが大阪で待っている。胸に穴が空いてしまったようでさみしいが、一人一人が頑張れるように引っ張っていきたい」と目を赤くしながら、成長を誓った。

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