■多様化、膨らむ保育需要

 

 9月中旬の午後7時すぎ、佐賀市神園の認可外保育施設「ココロ保育園」。昼間の子どもたちと入れ替わるように夜間保育の子どもたちが親に連れられてくる。友達を見つけて駆け出す子もいれば、母親の背中を追って泣く子もいる。この夜に預けられた子どもは13人。保育士があやすと、次第に落ち着き始めた。

 

■駆け込み寺

 

 市内で唯一24時間365日対応する園として今年4月に開園、定員44人は3カ月で埋まった。国の助成で保育料が認可園並みに抑えられていることもあり、認可園で「待機」になった人や夜に働く人たちの「駆け込み寺」となっている。

 市の認可保育園の待機児童数は4月1日時点で27人。特定の園を希望する潜在待機児童数は93人だった。昨年度比で保育定員は400人増えたものの、需要はさらに上回った。全国的な保育士不足で定員をフルに生かせない園もある。

 待機は卒園期にいったん減り、4月が最少で3月が最も多くなる傾向にある。今年3月は168人に上った。認可園の保育時間に合わない人は、そもそも入園申請しない。「待機児童」にカウントされない「保育難民」も存在する。

 ココロ保育園を利用する親の職業は看護師、飲食店店員、工場作業員、美容師、事務員など多様だ。式場で働く女性(29)は「日曜も仕事があり、他の園には預けられない」。選択肢はここしかなかった。

 運営するNPO法人「佐賀子育て応援団ココロ」の秋山弘子理事長(40)も離婚を経験し、働きながら2人の子どもを育てている。「働かないと食べていけない」という経験が、NPO設立を決心させた。

 「保育園に合わせて働く」という発想から百八十度転換し、「安心して働いてもらうために」を考えた。たどり着いたのがこの形だ。定員に達し、申し込みを断ったケースは40件ほどある。保育需要は、膨らみながら多様化している。

 

■「保活」

 

 「待機は都会の問題だと思っていた」。県庁で働く佐賀市の女性(40)は、5歳の長男を認可園、1歳の次女を別の認可外園に預けている。昨年12月から「保活」を始めたものの待機が続き、その度に職場復帰を延期した。4月も「待機」と分かり、認可外園に対象を広げた。午前4時台に起きて弁当を作り、小2の長女(7)も含め3人に支度をさせ、2園を回って出勤する毎日を送る。

 野村総合研究所が実施した「成長可能性都市ランキング」で佐賀市は「子育てしながら働ける環境がある」部門で3位に輝いた。実感と異なる調査結果に先の女性は「誰に聞いて調べたんだろう」。疑問を感じながら、こうも思う。「仕事を続けられているだけ、私はまだましな方かもしれない」

 仕事も育児も。対策が追い付かず、女性に求められている現実が、社会のあり方を問い掛けている。=おわり

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