最低賃金の改定を伝えるポスターを見る求職者=佐賀市のハローワーク

■県内、歓迎と懸念の声交錯

 佐賀県内の最低賃金(時給)が6日、22円引き上げられて737円に改定される。20円を超える引き上げは2年連続で、上げ幅は過去最高だった前年の21円を上回る。パートやアルバイトで働く人たちは生活水準の向上につながると歓迎する一方、中小企業の経営者などからは「大幅な賃上げは安定雇用に影響を及ぼす」と懸念の声も上がる。

 公労使が参加し、県内の最低賃金を決める8月の佐賀地方最低賃金審議会の専門部会。中央審議会が示した引き上げの目安「22円」を巡り、労働者、使用者側委員の議論は平行線をたどった。

 「地域格差は開くばかり。現状のままでは生活に必要な費用も賄えない」。福岡県との賃金格差に触れ、引き上げを求める労働者側に対し、使用者側は「県内は中小零細企業が多く、支払い能力を超えた大幅な賃上げは厳しい」。4回に及んだ昨年の審議回数でも折り合いはつかず、当初予定していた日程を1日延長、最終的には中央審の目安に沿う形で決着した。

 佐賀労働局によると、改訂後の最低賃金を下回る時給で働いている県内労働者の割合は12・1%に上る。パートやアルバイトの従業員が多い佐賀市のスーパーは「昨年時給を上げたばかり。さらに負担が増えれば経営は立ちゆかなくなる」と危惧する。

 最低賃金は地域の経済力に応じてA~Dの4ランクに分けられ、引き上げ額が決まる。ランクが上で、より高賃金の都市部に働き手が流出するとの懸念は根強く、このスーパーも「精いっぱいの額を提示しても、人手不足の状況は変わらない」と徒労感を口にする。

 最低賃金の引き上げは13年連続。上げ幅も2011年度から上昇し続けている。ただ、改訂後の737円は全国平均より111円低く、福岡県とは52円の開きがある。

 佐賀市内のハローワークで求人票を見ていた主婦(42)は「10年以上勤めても賃金が変わらない会社を辞めたばかり。これで十分とは言えないけれど、生活を考えたら20円以上の底上げは大きい」と話した。

 

 ■最低賃金 全ての働く人に企業が支払う賃金の下限額。都道府県ごとに時給で示され、地域経済の実態を踏まえて毎年度改訂される。最低賃金を下回る金額しか支払わなかった企業には罰則がある。

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