職員数が最も少ない三瀬支所=佐賀市三瀬村

■欠かせぬ高齢者の「足」確保

 

 佐賀市中心部からバスで北に約40分かかる山あいの富士町古湯。高齢化が進む地域で、自治会の山口澄雄会長(68)は市役所の支所再編で旧郡部にもたらされる不安を吐露する。「支所では対応できないことが増えて、本庁に行く必要が出てきた。交通の足がない高齢者は苦労している」

 再編に伴い、これまで各支所が対応していた身体障害者手帳の申請や、介護保険に関する相談など保健福祉課の業務の一部を本庁に集約した。気軽に行けた窓口が、時間をかけて足を運ぶ場所に変わった。

 旧佐賀市に近い大和町川上校区も、高齢者の移動は共通する課題だ。

 「田舎にはバスが少ない。病院や買い物に行けない」。そんな声を聞き、地元のNPO法人「かわかみ・絆の会」の松崎逸夫理事長は、免許を返納した高齢者の「生活の足」を確保しようと、会員制の送迎サービスを始めた。公共交通機関に頼らない自助組織。評判を呼び、開始から2年で会員数は当初の15人から104人まで伸びた。

 「平成の大合併」で、2度の合併を経た今の佐賀市。2度目となる2007年の南部3町との合併時に23万8千人だった人口は、10年で約4千人減った。特に山間部の減少が著しい。15年の国勢調査によると、富士町の人口減少率は5年前の前回調査と比べ8・7%と最も高く、三瀬村が8・6%と続いた。高齢化も深刻で、富士町では65歳以上の人口が全体の4割を占めている。

 人口減少は市の財政事情にも直結する。支所再編はコストカットの一環でもある。人員も見直され、七つの支所にいた職員計270人は144人になった。

 

■人口減対策追いつかず

 

 支所の中で最も規模が小さい三瀬支所は31人から15人に半減した。栗原要支所長は「支所の窓口を訪れる来庁者は減った印象がある」と打ち明ける。三瀬村に住む60代男性も「支所は閑散としているイメージ」。市役所本庁舎で増改築が進んだ一方、各支所には空き室が目立っている。三瀬村では15年に市中心部を結ぶ民間路線バスの一部が廃止され、本庁舎へのアクセスも不便になった。

 人口減に歯止めをかけようと、市は2005年10月の合併以降、工業団地などの製造系26社、中心市街地のオフィスビルに事務系で15社と進出協定を結び、約3千人の新規雇用を生み出した。その一方で進出協定を結んだものの、会社の経営方針などから準備段階で2社が断念した。

 経済性を重視した市街地への集中化が進む一方、均衡発展も念頭に据える佐賀市。旧佐賀市と旧郡部の住民の異なる利便性にどう対応していくか。次期市長に託された宿題だ。

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