九州北部豪雨の被災地を調査した大串浩一郎教授。過去の災害履歴や地形情報を活用した対策などを訴えている=佐賀市の佐賀大学

■県内関係者、選挙へ注文

 

 九州北部豪雨の発生から5日で3カ月。衆院選に向けて政局が目まぐるしく動く中、被災地では流木の回収や復旧工事が変わらず続けられている。これまでに調査や支援で被災地に関わった佐賀県内の関係者からは「新たな自然災害に備え、防災や減災の具体的な施策も選挙で語ってほしい」と注文する声が上がる。 

 

 「考えられないような土砂や流木の量。川ではないところが川になっていた」。佐賀大大学院の大串浩一郎教授(水工学)は8月に福岡県朝倉市などを調査した際の様子を振り返る。

 過去の災害履歴や地形情報を生かした対策に加え、インフラの老朽化対策…。国や自治体が積極的に取り組むべき課題は少なくないとみている。「人口減少社会でインフラへの投資額はなかなか増やせない。例えば、高齢者施設を交通の便がよく災害リスクが少ないところに置くといった土地利用の見直しなど、柔軟な対応が求められる」

 武雄市は、東日本大震災や熊本地震で市民ボランティアを募り、北部豪雨でも市民や随行職員を8回派遣してきた。「実情や対応を見聞きすることを重ねてきたから、役所や市民の防災意識が高まっている」。市防災危機管理課の西山丈晴課長はそう感じている。

 意識の高まりは防災行政に生かされ、災害危険箇所にあった避難所を見直し、対応拠点になる体育館を避難所から外すなどした。一方で、地方自治体レベルでは対応が難しい問題もある。西山課長は「大規模災害時には国や県からの人的支援も欲しい」。北川政次副市長は「防災関係の機器や施設整備には結構、費用がかかる」と指摘し、手厚い補助制度などを要望する。

 自民党は2012年の衆院選で「国土強靱(きょうじん)化」を公約に掲げた。今回の公約でも継続し、北部豪雨を含め「復興を加速する」とうたう。全国知事会は各政党に対し、復興・防災対策など10項目を公約に盛り込むよう提言している。ただ、自民党を含めここまでの各党の会見では、防災や被災地支援の具体策まではなかなか聞こえてこない。

 北部豪雨で、有明海には推計約2万2千立方メートルの流木やごみが打ち寄せ、漁港を覆い尽くした。内海の有明海は漂着物が滞留するため、漁場が使えなくなる危険性と常に隣り合わせになっている。回収に携わった佐賀市のノリ漁師の男性(35)は「被害を軽減できる手だてはないだろうか」。選挙戦でどんな対策が主張されるのか注視している。

このエントリーをはてなブックマークに追加