「手頃な価格の豆皿は人気だったが、茶器は売れなかった」。興味深い内容を書き漏らすまいとボールペンを走らせていたが、別の音が気になり手が止まった。

 7月、フランス・パリであった日本文化の博覧会に唐津焼が出展。その報告会が、9月に旧大島邸であった。座敷に集まった約30人が、出展者の話に熱心に耳を傾けていた。

 会場に遅れてやってきたのは、邸宅を見物しにきた団体客。案内人と思われる人が、造りの素晴らしさを熱心に解説したり、見物客が感想を言い合ったりする声が報告会の場に響いた。出展者は声のボリュームを上げた。

 旧大島邸ではたまに、「静かに講演を聴きたい人」と「邸宅を見学したい人」が鉢合わせる。その度、両者の間に嫌な空気が流れる。一方、立ち聞きして興味を持った見物客が報告会に飛び入りする場面があり、開かれた会場の利点もあった。

 報告会を開いた職員は「まさか平日昼に団体客が来るとは。出展者にマイクを用意するべきでした」。邸宅は4月に移築復元したばかり。市は上手な活用法を模索している。

(唐津支社・藤本拓希)

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