スーパーコンピューター「京」の性能などについて講演する開発責任者の井上愛一郎氏=嬉野市の嬉野中

 世界一の性能をもつスーパーコンピューター「京」の開発責任者で、嬉野市出身の井上愛一郎氏(60)による講演会が2日、嬉野中であった。コンピューターの仕組みから「京」のシステム、運用法について解説し、市内の全中学生約800人が耳を傾けた。

 井上氏はコンピューターの性能の成長ぶりを示すため、1秒に10回計算できた1959年製に比べ、「京」は1京(1兆の1万倍)回計算できることなどを紹介。また基本的な処理能力が決まるCPU(中央処理装置)について、「速いCPUは電気を食うし値段も高い」と難点を指摘した。

 その上で「京」については「4秒かかる仕事を4人で分けると1秒で終わるという考え。接続機構でたくさんのコンピューターをつないだものが基本概念」とし、「並列処理」により速度を追求したことを説明した。

 また「京」は「単純な演算速度では別のコンピューターに抜かれたが、実用的な性能を測るコンテストではいまだに1位を保っている」と実力の高さを紹介。地球温暖化が台風にもたらす変化や、津波の被害と住民の避難、地震による東京の高層ビルの揺れ方、心臓の動き方など、実際に使われているシミュレーションの例を挙げ、「人類と地球の未来のために使ってほしい」とまとめた。

 生徒たちからは「開発で一番大変だったことは」「コンピューターが普及することで悪影響はあるか」などの質問が出た。代表して謝辞を述べた嬉野中3年の池田望愛さん(15)は「コンピューターは苦手だが、将来の夢を考える上で興味が沸いてきた。難しい話も図や写真で分かりやすく説明してくれた」と充実感をにじませた。

 井上氏は現在の嬉野町吉田地区に生まれ、2歳まで暮らした。富士通在籍時、文科省のプロジェクトで「京」の開発責任者を担当。理化学研究所計算科学研究機構統括役を経て、現在は学校法人清風学園(大阪市)の常勤顧問。講演会は嬉野市教育委員会の「嬉野っ子みらい夢事業」として開かれ、地域住民も来場した。

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