1972年9月の日中国交正常化から29日で45年を迎えた。国交正常化後、経済や文化、人的なつながりの面で両国関係は著しく深まったが、近年、尖閣諸島や南シナ海問題などを巡る対立で政治関係は冷え込んだ。

 日中間の相互不信の連鎖により、両国民の感情は悪化し、寒々とした空気が流れる。これ以上対立が長引けば、経済や民間交流にも深刻な打撃を与えかねない。

 中国の歴史的な台頭により、日中関係は転換期にある。ここで問題点を冷静に整理し、立て直す必要がある。日中首脳は「善隣友好」を誓った国交正常化時の初心に立ち返り、関係修復に本腰を入れるべきだ。

 安倍晋三首相は中国の建国記念日と国交正常化を祝う式典のあいさつで、関係改善のため自ら訪中する考えを示し、中国の習近平国家主席来日を呼び掛けた。政府は日中平和友好条約締結40周年の来年の相互訪問を調整中だが、首相は自ら初めて計画を明らかにした。

 安倍首相は7月の首脳会談で、習主席が推進する現代版シルクロード構想「一帯一路」に支持を表明。2012年9月の尖閣国有化で「国交正常化後で最悪」といわれる状態にまで悪化した両国関係に改善の兆しが出ている。両国はこの機会をしっかりつかみ、関係修復を進めるべきだ。

 内閣府の年次世論調査によると、中国に「親しみを感じない」と答えた人は12~16年まで毎年8割を超えた。日中友好ブームの1970年代から80年代初めに7割前後が「親しみを感じる」と答えていたのとは対照的だ。

 「親しみを感じる」は89年に中国軍が武力で民主化運動を弾圧した天安門事件で5割まで減少し、その後、十数年間「感じる」「感じない」が拮抗(きっこう)。小泉純一郎首相の靖国神社参拝で日中関係が悪化した後「感じない」が多数派になり、海洋摩擦などにより右肩上がりで増加した。

 中国は2008年の北京五輪を経て、10年に日本を抜いて米国に次ぐ世界第2の経済大国となった。自信を付けた中国は、尖閣国有化に対抗して公船を領海に侵入させ、フィリピンなどと領有権を争う南シナ海で大規模な埋め立てを行った。

 こうした動きについて、日本が「中国は力で現状を変えるのか」と警戒するのは当然のことだ。中国は「平和主義を信奉し、覇権は目指さない」という外交方針を貫く姿勢を説得力のある形で国際社会に示すべきだ。

 一方、中国側には「日本は米国と結託して中国封じ込めを狙うのか」という反発がある。日本は平和的であれば中国の台頭を歓迎する立場を明確にする必要があろう。

 双方の疑念が払拭(ふっしょく)されない限り、根本的な関係改善はない。国交正常化時の共同声明などに続く「第5の政治文書」を作成し、新たな確認事項を設けるのも一案だろう。

 中国は「一帯一路」を「人類の運命共同体づくり」だと主張する。中国中心の国際新秩序を警戒するだけではなく、同構想への協力を通じて中国に平和主義を促す積極的な関与を検討したい。

 北朝鮮の核開発を阻止するためにも日中両国の連携は不可欠だ。10月、日本で衆院選、中国では共産党大会があり、それぞれ新しい政府・指導部が発足する。心機一転、日中関係の流れを「対立」から「共生」に切り替えるチャンスだ。(共同通信・森保裕)

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