澤野善文佐賀新聞社編集局長のインタビューに答える白水敏光教育長=佐賀県庁

 4月の就任から半年がたった佐賀県の白水敏光教育長(62)のインタビューでの一問一答は次の通り。(聞き手・澤野善文佐賀新聞社編集局長)

 

■子ども褒め「自己有用感」高め

 

 ―県政史上で初めて学校現場の教員から教育長になった。現場と教育行政との違いをどう感じているか。

 校長をしていたころは、地域や同窓会関係者など、さまざまな人に学校を理解してもらうために動いた。行政に来ると、県全体の課題を把握し、学校や教職員にどう伝えて、施策に取り組んでもらうかが課題になる。政策にどんな意義があるのかを丁寧に伝え、ギャップを生じさせないようにすることが大切だと思う。

 ―現場を知っているからこそのメリットやデメリットはあるか。

 知っているから具体的に考えることができる。ただ、今は現場を離れている。状況は日々変わっており、現場を分かっているという意識を持ってはいけない。だからこそ、丁寧に伝えていかなければならない。

 ―教育政策の柱になっている「生きる力」を育むための具体的な取り組みは。

 授業や部活動に加えて、校外の活動にも数多く取り組んでいる。知識や教養を身に付けさせるだけでは真の学力とはいえない。学力向上と言っても、目指すところは「学ぶ力」を育むことだと思う。

 ―「挑戦する子どもを育てたい」と以前のインタビューで語っていたが、そのために学校の現場はどう変わっていけばいいか。

 他人から評価してもらう「自己有用感」を子どもに持たせることが必要だ。褒めないと、挑戦する気持ちにならない。意見を発表し、尊重し合える授業が重要になってくる。以前に学校同士が交流するプレゼン大会を開いたが、そうした機会に褒められると、生徒の自信になる。主体的に学ぶ姿勢にもつながる。

 高校は学ぶ量が多く、今までの授業スタイルを変えることは難しい。ただ今後は大学入試が変わり、授業も変わる過渡期でもある。これまでの授業を工夫したり改善したりして、主体的に取り組む「学ぶ力」を育むことが必要だ。

 

■ICT教育 今後も推進

 

 ―ICT教育は全国に先駆けて取り組んだ。文部科学省でも推進しようとしている。県内で温度差がある中、現状と将来への意気込みは。

 導入時、現場にいたが、画期的なもので、大変だった。学校によって使う頻度は異なるが、効果があると感じる先生も増えている。なぜ広がらないかという理由の検証は必要。いい面もあるが課題もある。

 ―今後、ICT教育を推進していくという考えに変わりはないか。

 変わりはないが、効果的なやり方にどうやって持っていくかが問題。ICT教育を通じてプレゼン能力が高くなったという声も聞く。担当課で現場に行って課題を見つけ、話を聞いてみたい。どういうスタイルで進めていくかを共有していくことが必要だと思う。

 

 ■しらみず・としみつ 1955年生まれ。東京農大を卒業後、82年から県立高教諭。2009年から4年間、「全県枠」を設けた太良高の校長を務め、唐津東高・中学の校長を経て昨年3月に定年。今年4月に県教育長に就任した。唐津市厳木町。

このエントリーをはてなブックマークに追加